妖地図
呼子と木霊たちは旅館に着くと童子が案内した部屋に用意されていた料理を食べ始めた。
「おい」
「何ですか?」
「あの料理はいったいなんだ?」
「どうせこうなるだろうと思って多めに作ってもらったんです。大丈夫です。私たちの分はちゃんとありますから」
「そうか。なら、いいんだけど」
それにしてもいい食べっぷりだな。
まあ、ずっと山にいたら海の幸なんか食べられないからな。
さすがに毎日、木の実とか山菜じゃ飽きる。
飽きたら味変とかしないとおいしいと感じなくなる。仙人だったらそんな苦労はしないんだろうけど。
「あー! うまかった!! ごちそうさまー!!」
「おっ、食べ終わったか。で? 残りの四十六人はどこにいるんだ?」
「ん? ああ、それはな、えーっと……」
呼子は懐から日本地図を出す。
そんなところに大事なもの入れるなよ。
そいつは地図を広げると赤い点が書かれている箇所を指差した。
「これが一応、最新の地図……『妖地図』だ。まあ、さすがにこの場所に絶対いるって保証はできない」
「そうか。えっと、コピーか写真撮らせてもらっていいか?」
「ああ、いいぞ。というか、もういらないから持っていてくれよ。オイラのところには毎月似たようなものが届くから」
そうなのか。
「分かった。じゃあ、もらっていくぞ」
僕は彼から妖地図を受け取ると童子のところまで向かい始めた。
 




