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呼子探し
週末。
「ここが鳥取県か……」
「はい、鳥取県です。島根県ではありません」
「島根から見て左が山口で右が鳥取だろ?」
「はい、そうです」
鳥と島、漢字似てるからなー。
たまに間違えるんだよなー。
「お兄ちゃん! 見て見てー! どこを見ても一面砂しかないよー!」
「あー、そうだなー。一瞬、砂漠にいるのかと思えるくらいたくさん砂があるなー」
夏樹(僕の実の妹)はキャハハと言いながら鳥取砂丘を五感で味わっている。
え? 味覚?
空気の味、とかじゃないか?
「これから呼子を探さないといけないわけだけど、どこにいるのか分かってるのか?」
「その辺の山にいますよ。きっと」
きっと?
まあ、妖怪だからな。
一番落ち着ける場所にいるんだろう。
「よし、じゃあ夕方まで自由行動でいいかな?」
「はい」
「じゃあ、そういうことで」
こうして呼子探しが始まった。
夕方までに見つかるといいなー。




