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ね?

 僕と妹が朝ごはんを食べていると座敷童子が音もなく現れた。

 彼女は少し落ち込んでいるようだ。

 なぜなら、ずっと下を向いたまま動かないからだ。


「おい、どうしたんだ? 朝ごはん、食べないのか?」


「……あっ、はい……いただきます」


 彼女は食事以外のことを考えながら食べている。

 なんか空気が重いな。

 鬼姫ききの一件で最終的に僕が彼女と指切りをした直後から彼女は少し落ち込んでいるように思える。


「その……なんだ……。悩みがあるなら言ってくれよ。朝から気分が悪くなるからさ」


 彼女ははしをお茶碗の上に置くと、涙目になった。


「お、おい、どうしたんだ? どうして泣いてるんだ?」


「……さい」


 ん?


「うるさい! うるさい! うるさい! 私があなたのために彼女をなんとかしようとしたのに、それを邪魔するような人に心配されたくなんかありません!」


「お、落ち着けよ、童子わらこ。な?」


 僕が彼女に近づこうとすると、彼女は自分の手の甲に文字を書いた。


「お兄ちゃん! 伏せて!!」


 夏樹なつき(妹)の声に反応して、僕は瞬時にかがんだ。

 すると妹の黒い長髪が彼女を完全に拘束した。


「離してください! 私の邪魔をしないでください!」


 妹は彼女を自分の元へといざなうと、彼女の頬をビンタした。


「少し落ち着こう。ね?」


「……う……ご、ごめんなさい……。私、つい取り乱して」


 妹は彼女を解放しながら、彼女の背中に手を回した。


「……よしよし」


「う……う……うわあああああああああああああああああああ!!」


 座敷童子は妹をギュッと抱きしめながら、しばらく泣き続けていた。

 町が水没するほどではなかったが……。

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