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ふむ
朝。
「おはよう、童子」
「……あー、はい、おはようございます」
「大丈夫か? 水飲むか?」
「いえ、結構です」
「そうか。ふむ……だいぶいつも通りになってきたな」
「え? あー、まあ、そう、ですね」
「リハビリ成功して良かったな。まあ、まだ完治してないけど」
「何を言っているのですか? 完治していますよ」
「いやいや、完治してないよ。僕の手をずーっと握りしめてるんだから」
「え? ……あっ! あの、これはですね……ほら、あれですよ。私の悪癖です」
「そうなのか?」
「は、はい」
「そっか。まあ、そういうことにしておこう」
僕たちは夏樹(僕の実の妹)が来るまでベッドの上で話していた。




