通報
座敷童子の童子がプリンを食べている。
彼女は上からちびちび食べていく派らしい。
まあ、僕もそうなんだけど。
「な、何ですか? さっきからジロジロと」
「ジロジロは言い過ぎだよ。ただ、じーっと見つめてただけだよ」
「見ている方はそうでも見られている方は不愉快です。今すぐやめてください。じゃないと……」
「じゃないと?」
ソファに座っている彼女は僕から逃げるようにソファの端に移動する。
「つ、通報します」
「通報ね……。僕より長く生きてる座敷童子が僕みたいなガキを通報する……。まあ、法の力に頼るのは悪くない。けど、お前はそれでいいのか?」
「べ、別にいいですよ。あなたに視姦されるよりかは」
見た目は幼いけど、やっぱり長生きしてるから色んなことを知ってるんだな。
「なら、仕方ないな。僕は自分の部屋に戻るよ。残りの人生を牢屋の中で過ごすのは嫌だから」
彼女は僕がリビングから出ていこうとすると僕を呼び止めた。
「ま、待ってください!」
「なんだ? 僕がいると視線が気になって食べづらいんだろう?」
「そ、それは……まあ、そうなんですが……。で、ですが、別にここから出ていけだなんて言った覚えはありませんよ」
これが胸キュンとやつか。
しかも不意打ち。
これはあれだな。食べ終わるまで見つめてていいってことだな。
「そうか。じゃあ、遠慮なく……」
僕は彼女がプリンを食べ終えるまで少し離れたところから彼女のことをじーっと見つめていた。




