朝日
朝。
僕は何かに起こされた。
それは朝日だった。
朝がやってきたことを知らせてくれてありがとう。
いつもすまないね。
えーっと、昨日の記憶がほとんどないのはどうしてかな?
まあ、いいや。とりあえず制服に着替えよう。
おや? おかしいぞ。クローゼットにあるはずの制服が女子のものになっている。
あっ、そうだ。
僕は今、夏樹(僕の実の妹)の部屋にいるんだった。
ということは夏樹は今、僕の部屋にいるのかな。
僕は夏樹の部屋から出ると自室に向かった。
僕のベッドで寝ているのは夏樹と座敷童子の童子だ。
そろそろ起こさないといけないということは分かっている。
しかし、気持ちよさそうに眠っている妹を起こすのはかわいそうだ。
まあ、起こすんだけどね。
「おーい、二人ともー。もう朝だぞー、起きろー」
「お兄ちゃーん……もっとちょうだーい。えへへへへへ♪」
「雅人さん……たす、けて……」
助けて?
僕には確かにそう聞こえた。
僕は童子の小さな手を握った。
すると彼女はギュッと僕の手を握り返した。
夏樹に抱き枕にされている童子。
彼女はとても息苦しそうにしている。
どうしてもっと早く気づくことができなかったのかと僕はひどく悔やんだ。
だが、今はそんなことよりも彼女を助ける方が重要だ。優先事項だ。僕が今すぐやらなければならないことだ。
僕は夏樹の脇の下をくすぐる。
僕は夏樹の腕の力が抜けた瞬間、童子をお姫様抱っこした。
僕は夏樹が頭に敷いている枕を夏樹に抱かせた。
身代わりの術というやつだ。
「童子、大丈夫か?」
「は、はい、なんとか……」
「そうか。それは良かった」
どうしてそうなったのかは知らないがとりあえず童子を助け出すことができたから良しとしよう。
さてと、それじゃあそろそろ夏樹を起こすとしよう。
 




