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私物化

 夏樹なつきの部屋。


「……遅い」


 夏樹はドスドスと足音を立てながら雅人の部屋まで歩いた。


「ちょっと、何してるの? 早く来てよ」


「私……は……」


 座敷童子の童子わらこはベッドの上でガタガタ震えている。

 夏樹は彼女の手首を掴むと自室まで引きずっていった。


「童子ちゃんがお兄ちゃんにしたことは許さない。けど、謝罪くらいはしてほしいな」


「……ご、ごめんなさい。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」


「あー、はいはい、もういいよ。で? これからどうするの?」


「これ、から?」


「うん、そうだよ。だって、無理やりお兄ちゃんを私物化しようとしたんだよ? 普通なら警察を呼ばれてもおかしくないよね?」


「わた、しは……」


 あー、これはダメっぽいね。

 今何を言っても無駄。

 でも、童子ちゃんがお兄ちゃんにしたことをなかったことにはできない。


「お兄ちゃん、まだ目を覚まさないんだけど、どうにかならないの?」


「文字の力の効力を途中で遮断すると……」


「え? 何? 聞こえないよ」


「も、文字の力の効力を途中で遮断すると、しばらく眠ってしまうという副作用があって……」


「へえ、そうなんだ。で? お兄ちゃんはいつ目を覚ますの?」


「……らない」


「え? 何? もう一回言って。私に聞こえるように」


「わ、分からない。前例がほとんどない……から」


 はぁ……なんか私がいじめてるみたいになってるね、これ。

 というか、いつもの上から目線口調どこ行ったの?

 まあ、いいや。


「あっ、そう。じゃあ、しばらくこの部屋で待機だね。あー、逃げようとしたら私の髪で拘束するからね?」


「そ、そんなことしません……」


「よろしい。じゃあ、しばらく自由にしてていいよ」


 私はガタガタ震えている童子ちゃんから少し離れるとお兄ちゃんが寝ているベッドのそばに行き、ゆっくり腰を下ろした。

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