何をしたの?
夏樹(雅人の実の妹)が雅人の異変に気づき、彼の部屋にノックもせずに入ると座敷童子の童子が泣いていた。
雅人は彼女を後ろから抱きしめている。
「ねえ、童子ちゃん。お兄ちゃんに何をしたの?」
「……わ、私は……悪くない……」
「お兄ちゃん、私の名前分かる?」
「知らない。僕は童子のものだ。さぁ、童子。早く命令を」
夏樹は雅人に平手打ちをした後、童子をベッドに押し倒した。
「言え! お兄ちゃんに何をした!」
「ぜ、絶対服従……」
「はぁ?」
「文字の力……絶対服従で……彼を……雅人さんを私のものにしてしまった」
ふざけるな。
「なんでそんなことしたの?」
「……私は彼が欲しかった」
「欲しいものがあったら何がなんでも手に入れたい。その気持ちは分かるよ。けど、お兄ちゃんだけは渡さない。どこの誰であろうとね。で? それを解くにはどうしたらいいの?」
「効力は……私が死ぬか雅人さんが死ぬまで続く」
「ふーん、そうなんだ。なら、問題ないね。私がお兄ちゃんにキスをすれば元通り。そうでしょ?」
夏樹はガタガタと震えている童子の額にデコピンをすると雅人がいるところまでズンズン進んでいった。
「お兄ちゃん、先に謝っておくよ。ごめんなさい」
「お前はいったい誰だ? おい、いったい何をするつもりだ? 聞いているのか!」
彼女は自身の黒い長髪で彼を拘束すると半ば無理やり彼の唇を奪った。
彼が意識を失うと同時に彼女は拘束を解いた。
「童子ちゃん。落ち着いたら私の部屋まで来て。話があるから」
彼女は雅人の手首を掴むと自室まで引きずっていった。




