↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
42/1950

出現

 夏樹《なつき》は急に泣き始めた。

 理由は分からない。

 だが、どうして泣いているのかを訊《き》くことはできる。


「夏樹《なつき》、どうして泣いてるんだ? 目にゴミでも入ったのか?」


「……違うよ。ねえ、お兄ちゃん。本当に体の調子はいいの?」


 何なんだよ……座敷童子も、妹も、どうして僕の体に異常がないか訊《き》いてくるんだ?


「ああ、別にどこも悪くないよ。それで? どうしてさっきから泣いてるんだ?」


「……それは」


 その時、座敷童子がどこかはともなく現れた。


「それは私が説明します」


「お前……いつから聞いてたんだ?」


 彼女はそれを無視した。

 その後、僕の右手の甲に出現という字を書いた。

 すると、僕の右隣《みぎどなり》に巫女の格好をした黒髪ロングと紅《あか》い瞳が特徴的な美少女が現れた。


「え? ちょ、お前……誰だ?」


「んー? あれー? もしかして、あたしのこと見えてる?」


 その子は宙《ちゅう》に浮いている。

 その子は目をパチクリさせながら、僕に視線を合わせた。


「その声……お前、まさか……」


「そうよー、あたしは鬼姫《きき》よー」


 彼女がニコニコ笑っていると、座敷童子が彼女を睨《にら》みつけた。


「何よー、あたしに言いたいことでもあるのー?」


「あなたに言いたいことは山ほどあります。しかし、今はそんなことに時間を割《さ》くわけにはいきません」


 彼女は自分の額《ひたい》に結界という字を書いた。

 すると、僕の部屋が結界で覆われた。


「こんなのであたしをどうにかできると思ってるの?」


「単刀直入に言います。彼の体から今すぐ出ていってください。いや、出ていけ」


 彼女がそう言うと、鬼姫《きき》は急に笑い始めた。


「……あたしがそんな脅しに屈《くっ》するわけないでしょ? バカなの?」


「バカと言う方がバカです。それより早く私が先ほど言ったことを実行してください。さもないと」


 彼女は座敷童子を煽《あお》るように、こう言った。


「さもないと……どうするの? 殺すの? ねえ、殺すの?」


「殺しはしませんよ。封印するだけです」


 封印?

 座敷童子にそんな力があるのか?


「あたしをどうにかしたいなら、まずこの男を殺さないといけないけど、どうする?」


 彼女は僕にまとわりついた。

 その直後、妹が黒い長髪を針のように尖《とが》らせた。

 そして、彼女の目の前までそれを高速で移動させた。


「お兄ちゃんから離れて! 今すぐに!!」


「お兄ちゃん? あー、そういえば、今はそういう設定だったわね」


 設定?

 いったい何の話をしてるんだ?


「早く離れて! 離れてよ!!」


「はいはい、分かりましたよー」


 彼女が僕から離れると、妹の髪は妹の元へ戻っていった。


「まあ、とりあえず話をしましょうか。色々とね」


 彼女はそう言うと、その場で正座をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。