トコトコ
僕が家を出ると座敷童子の童子がトコトコやってきた。
「ま、待ってください!」
「……?」
はて? 忘れ物はないはずだが。
彼女は息を切らしながら、手を差し出した。
「い……一緒に登校してあげてもいいですよ」
「え? 一緒に? 僕と?」
「そうですよ。他に誰がいるというのですか?」
夏樹が僕のとなりにいるということはあえて言わないでおこう。
「そうだな。じゃあ、行こうか」
「は、はいっ!」
「あー! ズルーイ! お兄ちゃん、私の手も握ってー!」
「はいはい」
ま、雅人さんと手を握ってしまいました。朝からこんなことをしていいのでしょうか?
私は一応、居候なのに……。
「童子」
「ひゃ、ひゃい!!」
「今日さー、ちょっと部室に顔出すから、いつもより遅くなると思う。だから……」
「分かりました。夕飯は少し遅めになるということですね」
「まあ、そういうことだ」
部室……。
そういえば、雅人さんは帰宅部ではありませんでしたね。
えっと、奉仕部? 隣人部?
うーん、もっと文字数が多かったような……。
「それにしても今日はいい天気だなー」
「だねー」
まあ、それは雅人さんが帰ってきてからにしましょう。
今はこの幸せな時間を大事にしたいですから。
そんな感じで三人は仲良く登校した。




