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彼の手

 私が目を覚ますと目の前に雅人まさとさんの顔があった。

 私の頭をずっと撫でていたのだろうか?

 自分の力を恐れている私なんかの頭を……。

 この人は妖怪でも人間でもない。

 心は人間。体は鬼……。

 この人は強い。

 私なんかより、ずっと……。

 けれど……この人は時々、とてもさびしそうな顔をする。

 夏樹なつき雅人まさとの実の妹)さんや私がいるのに、どうしてそんな顔をするのですか?

 私たちは心からあなたのことを愛しているというのに。

 私が彼の頬に手を伸ばすと彼はそれに気づき、私の手を握ってくれた。

 彼の手は私の手より大きくゴツゴツしている。

 彼の手から彼の熱が私の体内に流れ込んでくる。

 私は……いつからこの人のことを好きになっていたのだろう。

 はぁ……この人の全てを私のものにしたい。

 雅人まさとさん、私はいつか必ずあなたを幸せにしてみせますからね。

 ですから、それまで誰のものにもならないでください。

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