天使と悪魔
僕の幼馴染である『百々目鬼 羅々』の話によると、最近この学校で天使と悪魔が言い争いをしているらしい。
まあ、人と妖怪が共存している世界に天使と悪魔がいてもおかしくない。
というか、いないとおかしい。
で、なぜ彼女がその話を僕にしたのかというと。
「私と雅人でそれを確かめに行こうよ」
「あー、なんか面倒くさそうだからパス」
「えー! なんでー! 一緒に行こうよー。ねえ、雅人ー」
「断る。触らぬ神に祟りなし。自分から厄介ごとに首を突っ込もうとするから酷い目に遭う。違うか?」
彼女は不満そうに口を尖らせる。
「それはまあ、そうだけどさー」
「だいたい、その天使と悪魔はなんで言い争ってるんだ?」
「えー? あー、なんかお菓子がどうのこうの言ってるみたいだよ。こっちの方がおいしいとか、おいしくないとか」
「なんだ、それ。くだらないなー。そんなの学校でするなよ。警備員さんがビックリするだろ」
まあ、生徒や職員がいなくなったら学校って結構静かだからな。
案内、話しやすいのかもしれないな。
「けどさー、死ぬ前に一度くらい天使と悪魔が話してるところ見てみたいじゃない?」
「うーん、まあ、それは分からなくもないな。で? その天使と悪魔はどこで言い争ってるんだ?」
「うーんとねー、屋上だったり体育館の屋根の上だったり、たまにプールサイドにいたりするらしいよー」
場所を変えるのに意味はあるのだろうか?
うーん、よく分からないな。
「そうか。じゃあ、明日は休日だから明日の夜、見に行くか?」
「触らぬ神に祟りなしとか言っておきながら、やっぱり気になるんだねー」
「違う。これは部活の活動としてだな」
「あー、はいはい、そういうことにしておくよ。じゃあ、明日の夜、十時に正門前集合ね」
「りょーかい」
さてさて、どうなることやら。




