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髪切り

 次の日。


「ねえ、雅人まさと。お願いだから早く教えてよ」


「え? 何を?」


「何をって、なぞなぞの答えだよー」


 なぞなぞ?

 あー、火をつけると困るランプはなーんだってやつか。


「あー、あれか。あれの答えはたしか……」


「たしか?」


「忘れた」


「はぁ!?」


 僕の幼馴染である『百々目鬼(とどめき) 羅々(らら)』は教室内にいるみんながこちらを向いてしまうほどの大声を出した。


「声がでかいぞ。もう少し静かにしてくれ」


「そんなことできないよ! ねえねえ、お願いだから思い出してよー」


「うーん、たしかゴ○ンジャーの1話でそんなこと言ってたんだよなー」


「え? そうなの? なら、今日帰ったら見てみるね」


「おう」


 彼女は歯に挟まった食べ物のカスが取れた時のようなスッキリした顔で自分の席に戻っていった。

 なんだよ、用事はそれだけかよ。

 まあ、別にいいんだけどさ。

 僕はその日、なんとなく窓の外をながめていた。

 青い空に白い雲。あと飛行機雲が一本。

 それと、たまに鳥が通過する。

 あっ、トンビがカラスに襲われてる。

 大丈夫かな?

 まあ、自然界に限らず弱肉強食が基本だからな。

 僕が手を貸すわけにはいかない。

 そんなことを考えていると一日が終わってしまった。おっと、そろそろ帰らないといけないな。

 そういえば、今日は学校で夏樹なつきに会わなかったな。

 移動教室が多かったのかな?

 いや、それはない。

 あいつは移動教室だろうと体育の前だろうと必ず僕のところにやってくる。

 だとしたら、夏樹なつきは今どこにいるんだ?

 僕がそんなことを考えていると、スピーカーから声が聞こえてきた。


山本やまもと 雅人まさと! お前の妹の命と髪はこの髪切りの機嫌次第でばっさり断ち切る! それをされたくなかったら今すぐ放送室に来い! もちろん一人でだ! 分かったな!」


 僕はその放送が終わる前に放送室の前までダッシュした。

 僕はその放送が終わると同時に髪切りをボコボコにした。

 僕はそいつを学校から数十キロ離れた山まで投げ飛ばすと、夏樹なつきの元まで駆け寄った。


夏樹なつき、大丈夫か? 変なことされてないか?」


「う、うん、大丈夫。はぁ……まさか、あんな雑魚妖怪に捕まるなんて……。私、ダメだな」


 僕は夏樹なつきの髪と体を縛っている縄を引きちぎると夏樹なつきの髪にキスをした。


「お、お兄ちゃん、急にどうしたの?」


「あー、いや、別に深い意味はないんだ。なんか急にこうしたくなったというか、なんというか」


「変なお兄ちゃん。さぁ、早く家に帰ろう」


「そうだな」


 僕が夏樹なつきを立たせると夏樹なつきが僕に寄りかかった。


夏樹なつき、大丈夫か?」


「あー、うん、大丈夫。えっとね、ずっと座ってたからしびれが切れちゃって」


「あー、なるほど。そういうことか。なら、今日はおぶってやるよ」


「え? いいの? やったー」


 僕は夏樹なつきを背中に乗せると時速1キロ弱の速度で家まで帰った。

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