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眼球とキス

 図書室。


「ねえ、雅人まさとー。早くさっきのなぞなぞの答え教えてよー」


「しっ! 図書室で騒ぐな! ちょっとこっちに来い!」


 僕は幼馴染の『百々目鬼(とどめき) 羅々(らら)』に小声でそう言うと、図書室の奥の方に向かった。

 その直後、夏樹わたしはお兄ちゃんを追尾した。お兄ちゃん、私というものがありながら他の女の子に手を出そうとするのはどうかと思うよ?

 いや、違う。きっとお兄ちゃんはあの女に誘惑か脅迫されてしぶしぶここまで連れてこられたんだ。

 そうだ、そうに違いない。


雅人まさとー、早く教えてよー。私もう我慢できないよー」


「分かった、分かった。今言うから」


 夏樹なつきの空耳だと。

 雅人まさとー、早くしてよー。私もう我慢できないよー。

 分かった、分かった。今楽にしてやるから。


「ああ、もうダメ……。お兄ちゃんは誰にも渡さない! お兄ちゃん! その女に騙されちゃダメだよ!」


「え? 夏樹なつき? お前、どうしてここに」


「そんなことはどうでもいいよ! それより、お兄ちゃん大丈夫? この女に変なことされてない? それとももう食べられちゃった?」


 な、夏樹なつきはいったい何を言っているんだ?

 と、とにかく一旦ここから出よう。

 うるさくすると出禁になる。


「と、とりあえず屋上に行こう。ここだと話しにくいから。な?」


「うーん、まあ、そうだね……」


「よし、じゃあ、ここから出よう。今すぐ出よう。すぐ出よう。ほらほら」


 雅人まさとは二人と共に屋上に向かった。


「で? お兄ちゃんはどうしてこの女と一緒に図書室に行ったりしたの?」


「いや、それはその……」


夏樹なつきちゃん、私は雅人まさとになぞなぞの答えを教えてもらおうとしてただけだよ? それなのにどうして私を悪者扱いするの?」


 夏樹なつきは一度彼女の方を見てから、僕の方を見た。


「お兄ちゃん、この女が言ってることは本当なの?」


「ほ、本当だよ」


「ホントにー?」


 夏樹なつきは自身の眼球が僕の眼球とキスするくらいまで近づいた。

 ち、近い! 近い! 近い! なんでそんなに疑うんだよ!


「うーん、まあ、お兄ちゃんの中にある私の髪の毛もお兄ちゃんは嘘をついてないって言ってるから間違いないね。で? そのなぞなぞって何なの?」


「え? あー、えっとな、火がつくと困るランプはなーんだってやつだ」


「ふーん、そうなんだ……。で? 答えは?」


 え? ちょ、ちょっとは考えてくれよ……。


「あー、それはな……」


 僕がなぞなぞの答えを言おうとした時、座敷童子の童子わらこが僕の背後に出現した。


「すみません。急用があるので少し雅人まさとさんを借ります」


「え? あっ! ちょ!!」


 僕は童子わらこと共にどこかにワープした。


「あー……えーっと、その……夏樹なつきちゃん、大丈夫?」


「大丈夫じゃない。私は今からお兄ちゃんを探しに行く。まあ、お兄ちゃんの体内にある私の髪の毛の波動を追えばいいだけだから、すぐ見つかるね。ふふふふふふ。待っててね、お兄ちゃん。すぐ見つけてあげるから」


「あっ! 待ってよ! 私も一緒に行くよ!!」


 二人は雅人まさとを探しに向かった。

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