チュー
朝起きると僕の首筋はグッショリ濡れていた。
夏樹と童子の唾液が僕の首筋にこびりついている。
気持ち悪くはないが、朝から気分が悪くなった。
「二人ともー、朝だぞー。起きろー」
「だ、ダメだよ、お兄ちゃん……。そんなとこ触らないでー」
「雅人さん……今日は……いつもより、積極的……ですね……」
二人ともどんな夢見てるんだ?
まあ、いい。とりあえず二人を起こそう。
「おい、二人とも。いい加減起きてくれ」
僕が二人の脇をくすぐると二人は僕の腕に噛みついた。
「痛い! 痛い! 痛い! 痛い! ふ、二人とも! 頼むから起きてくれ! 歯形が残るからー!」
僕が叫ぶと二人はようやく目を覚ました。
「ん……うーん……ふわぁ……。あっ、お兄ちゃん、おはよう」
「……ん? もう朝ですか? ふわぁ……」
二人とも大きな欠伸をしながら背伸びをしている。
まったく、こっちは最悪の朝を迎えたってのに、二人とも呑気でいいな。
「お兄ちゃーん、おはようのチューしてー」
「は? ちょ、ちょっと待て。いつもそんなことしてないだろ?」
「今日から始めたんだよー。ほら、早くしてよー。充電できないよー」
充電って……。
僕はお前のバッテリーか何かなのか?
「では、私も失礼して」
「おい、こら待て。なんで流れでやろうとしてるんだよ! というか、お前いつから起きてたんだ?」
「さぁ? いつからでしょうね。雅人さんが首筋に付着している私の唾液をマジマジと見ていた時からですかねー」
それって一部始終って意味じゃ……。
「お兄ちゃん、チューしてー。チュー」
「だ、ダメだ! またお前の力が発動したらどうする! 回復はやりすぎると身を滅ぼすんだぞ!」
「その通りです。ということで、夏樹さんの代わりに私が……」
あー! もうー! 誰かこの二人を止めてくれー!
結局、二人の頬にキスをするまで二人は僕から離れようとしなかった。
はぁ……朝からどっと疲れたな……。
僕が制服に着替えようとすると、二人も着替え出したため僕は部屋の外に出て廊下で着替えた。
朝から女の子の裸なんかを見ていたら鉄分がいくらあっても足りなくなる……。
さ、さあて、朝ごはんでも食べようかなー。
僕が一階に向かおうとすると例の二人が僕の両サイドに出現した。
はぁ……頼むから少しくらい一人にさせてくれよ。




