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リバイバル

 ここは……どこだ?

 真っ暗で何も見えない……。

 誰か……誰かいないのか?


「あれ? どうして君がここにいるの? まあ、いいや。ほら、君の妹が呼んでいるよ」


 誰、だ? それにここはいったい……。


「僕はこの世界のぬし。白い蝶だよ。まあ、それはさておき。ここに長くいると君は元の世界に戻りたくなくなるよ。だから、ほら、早く帰りなよ」


 その直後、僕の意識は元の世界に戻り始めた。


「……夏樹なつきさん、そこを退いてください」


「私のせいでお兄ちゃんが死にかけたんだよ! 私がなんとかしないと……」


「いいから退いてください。早くしないと手遅れに……」


 夏樹なつきは彼の手をずっと握っていた。

 そのため、彼の指が少し動いたことに座敷童子の童子わらこよりも早く気づくことができた。


「い、今お兄ちゃんの指が少し動いた! 良かった! お兄ちゃんはちゃんと生きてる!」


「……あ……こ……ここは……どこだ?」


「ここは病院です。あなたは三時間ほど意識を失っていました」


 えっと、たしか夏樹なつきの暴走を止めようとしたけど結局、大怪我して……。それから……。


「なあ、夏樹なつき


「なあに? もしかして、どこか痛むの?」


「いや、違うよ。えっと、その……お前、どうしてあの時、僕にキスをしたんだ?」


 彼の一言で夏樹なつきは赤面した。


「あ、あれは! その……なんとかしてお兄ちゃんを助けたかったからやったというか、なんというか」


「そっか……。そういうことだったのか。ありがとう、夏樹なつき。おかげで助かったよ」


 僕が夏樹なつきの頭を撫でると夏樹なつきは頭から煙を出しながらニヤケ始めた。


雅人まさとさん、とりあえずこの桃を食べてください」


「え? あー、うん、分かった……」


 僕が意識を失っている間にカットしたのだろうか?

 まあ、いい。とりあえず食べよう。


「はむっ……」


「どうですか? お味の方は」


「あー、うん……すっごくおいしいよ。とっても甘いし、優しい味がするよ」


「そうですか。あっ、夏樹なつきさんも食べますか?」


 夏樹なつきは「あー、うん」と言いながら桃を食べた。

 なんか寿命が延びたような気がするな。


「えっと、お兄ちゃんはいつ退院できそうなの?」


「早ければ明日。遅くても一週間程度で退院できると思います」


「いや、今日中には退院できるよ。というか、今すぐ退院できそうだ」


 夏樹なつきが目を丸くする。


「お、お兄ちゃん、無理しないで。まだ寝てないとダメだよ」


「いや、なんか急に体が軽くなったんだよ」


「で、でも……」


 不安そうな夏樹なつきに対し、童子わらこはそれを予測していたかのように微笑みを浮かべている。


「分かりました。では、一緒に帰りましょう」


「ああ」


「え、ええ、ほ、本当に大丈夫なのかなー?」


 こうして僕はとりあえず復活したのであった。

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