表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
376/1936

抱き心地は……

 僕は今日起こった出来事……主に鬼人絡みのことを夏樹なつきに全て話した。

 夏樹なつきは僕が言霊ことだまの力の反動を受けているのをいいことに息をするように布団の中に入ってきた。

 一応、全身に痛みがあるため夏樹なつきを追い出すことも、その場から逃げることもできなかった。

 まあ、別にその必要はないのだが。


「なるほどねー。私のためにそこまでしてくれてたんだ。なんか申し訳ないなー」


「お前が気にする必要はないよ……。あー、それにしても痛いな……。どうにかならないのかな……」


 僕がそんなことをつぶやくと夏樹なつきは僕のひたいに自分の額を重ねた。


「ちょ、夏樹なつき。いきなり何す……」


「お兄ちゃんは私に内緒で私のためにお兄ちゃんがやりたくないことをしました。私はすごく悲しいです。なぜなら、今回の一件は私がけりをつけるべきだったのに、私はそれに気づかずお兄ちゃんに任せてしまったせいでお兄ちゃんが今、すごく苦しんでいるからです」


 な、なんで急に丁寧口調になったんだ?


「お、おう」


「おう、じゃないです。お兄ちゃんは何でもかんでも自分一人でなんとかしようとする悪い癖があります。それは改善しようと思えばできるはずです。なぜなら私のお兄ちゃんはやればできる子だからです」


 つ、つまり、どういうことだ?


「え、えっと……つまり?」


「えーっと、つ、つまり……何でもかんでも一人で抱え込まれると迷惑だから、これからはほうれんそうを意識してほしいということです」


 報告・連絡・相談。

 うん、それはとても大事なことだな。

 すっかり忘れていたよ、教えてくれてありがとう、夏樹なつき


「了解。これからは気をつけるよ」


「それはこれからの行動で示してください。いいですね?」


 はい、分かりました。


「はい」


「よろしい。では、今日は私を抱き枕にして寝てください。昨日のお礼です」


 逆は別にいいと思う。

 だが、僕がそれをするのはちょっと……。


「お兄ちゃん、私のこと嫌いなの?」


「い、いや! そんなことはないよ! けど、僕がそんなことをしたら、り……理性を保てなくなるかもしれないから……」


 理性ねー。


「今はそんなこと言ってる場合じゃないよ。明日に備えて今日はおとなしく私を抱き枕にして寝なさい! これは決定事項です! ついでに言っておくと、お兄ちゃんに拒否権はありません!」


「そ、そんなー。あんまりだー」


 結局、僕はその日、夏樹なつきを抱き枕にして寝た。

 抱き心地は……最高だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ