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内緒にしておこう

 急に放課後になってしまったせいで動揺している鬼人がいる。

 仕方ない。種明かしをしてやろう。

 僕はやつの手首をつかむと同時に彼を屋上まで投げ飛ばした。


「い、いきなり何すんだよ! 危ねえだろうが!」


「まあ、そうだな。だが、お前はこれくらいじゃ、びくともしない。そうだろう?」


 そ、それは……まあ、そうだが。


「だからって、いきなり投げ飛ばすことはねえだろ」


「僕の妹に接触した上に一時的にとはいえ魂を植えつけたやつに言われたくないね。さてと、それじゃあ種明かしをしようか」


 種明かし?


「た、種明かしか。ま、まあ、聞いてやらんこともないぞ」


「了解。じゃあ、話すぞ。まず、僕の中にいる鬼は言霊ことだまの力を使うことができる。まあ、言ったことが現実になると思ってくれていい。次に、僕はそいつに相談をした。お前がどんな手を使ってこようと、それをなかったことにしろってな。理由はお前との戦いに無駄な時間をかけたくなかったからと単に面倒だったからだ。まあ、その代償として僕は今日の夜その力の反動に苦しめられるのだがな」


 つ、つまり、こいつは最初から俺と真正面からぶつかり合うつもりはなかったということだな。


「はい、説明終了。じゃあ、また明日」


「ま、待て! 次からは今回のようなことはしない! だから、次からは俺とこぶしで語り合ってくれ! 頼む! この通りだ!!」


 同級生が土下座をしている。

 お前には鬼人の誇りはないのか?

 そこまでして僕と戦いたいのか?

 僕はこの学校のトップでもなんでもないのに。


「断る。僕はいざという時にしか自分の力を使いたくないんだ。だから、もう僕に関わるのはやめてくれ。あー、あと……」


 僕はやつの戦意を喪失させるために殺意と怒りを込めた眼差しをやつに向けた。


「もし、僕の妹がお前のせいで嫌な思いをしたら問答無用で僕はお前を殺す。どんな手を使ってでも殺す。逃げても無駄だ。絶対にお前を追いつめて、この手で殺してやる。分かったか?」


「わ、分かった。これからは気をつける」


 その言葉、覚えておくからな。


「よし、なら、今日はさっさと帰れ。じゃあ、また明日」


「あ、ああ、また明日」


 僕は夏樹なつきが立っている校門までジャンプする。

 少しだけ胸が痛い。

 もう力の反動の影響が出始めているのだろうか?

 いや、違う。これは……。


「お兄ちゃん、どうしたの? 顔色、悪いよ?」


「そ、そうか? 別にどこも悪くないんだけどな」


 夏樹なつきに悟られるわけにはいかない。

 あいつとのことは内緒にしておこう。


「ホントにー? なーんか怪しいなー」


「ほ、本当だよ。さぁ、早く家に帰ろう」


 お兄ちゃんが苦笑いしてる。やっぱりなんかあったんだ。


「そうだね。早く帰ろう」


「ああ」

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