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殺し合い

 朝は忙しい。身支度やら何やらをしているとすぐに時間がってしまう。

 今日もそんな感じだった。まったく、どうにかならないものか。

 僕はそんなことを考えながら夏樹なつきと一緒に家を出た。

 そこまでは良かった……。


「よう! 雅人まさと! 今日も仲良く妹と登校か? いいご身分だなー、おい」


「……なんで……なんでお前がここにいるんだよ! というか、いつからいたんだ?」


 鬼人『山田やまだ 雅史まさし』は秒で答える。


「えーっと、たしか十秒くらい前かな。あっ、ついでに言っておくと住所はこの辺のやつが教えてくれたぞ」


 教えるなよ! 個人情報だろうが! いや、でもクラスメイトという立場を利用すれば忘れ物を届けに行きたくてーとか言っておけばいけるか。

 あー、クソ! 意外と頭いいんだな! お前!!


「そうかよ。じゃあ、僕たちはこれで失礼するよ」


「まあまあ、待てよ。どうせ行き先は同じなんだからさ、一緒に行こうぜ」


 それが嫌だから早く学校に行きたいんだよ!


「お兄ちゃん、私は大丈夫だよ。ほら、早くしないと遅刻しちゃうよ」


「そ、そうだな。遅刻は回避しないといけないな。感謝しろよ! 転校生!!」


 やつはニヤリと笑う。


「何にだ?」


夏樹なつきの心の広さにだよ! それくらい察しろ!!」


 やつは「へいへい」と適当に返事をするとスタスタ歩き始めた。

 僕たちはやつから逃げるように登校した。


「はぁ……」


雅人まさとー、どうしたのー? 朝から元気ないねー」


 幼馴染の『百々目鬼(とどめき) 羅々(らら)』が僕を後ろから抱きしめる。


「あー、まあ、ちょっと……いや、かなり嫌なことがあってな……って、当たり前のように抱きつくな! 気持ち悪い!」


「えー、別にいいじゃん。幼馴染なんだしー」


 それ今、関係あるのか?

 まあ、いいや。


「良くない。あっ、でもあれだな。あの転校生をどうにかしてくれたら……」


「分かった。で? 何をすればいいの?」


 最後まで言わせろよ。


「うーんとな、あの転校生が僕の妹に惚れたみたいなんだよ」


「へえ、良かったじゃん。夏樹なつきちゃんがその転校生とくっつけば雅人まさとはフリーになれるよ」


 うん、お前ならそう言うと思ってたよ。


「まあまあ、最後まで聞けよ。えっとな、夏樹なつきはその転校生のことは何とも思ってないんだよ。だから」


「そんなの雅人まさとがボコボコにすればいいじゃん」


 分かってないなー。僕は嫌なんだよ、その力こそ全て的なやつは。

 暴力でこの世の全てが解決するほど世の中あまくはないんだよ。


「それは最終手段だ。僕はそれ以外でこの状況をなんとかしたいんだよ」


「ふーん。まあ、多分……というか、もう遅いよ。ほら、噂の転校生のお出ましだよ」


 やつは教室に入ってくるなり僕の顔をつかみ、マネキンでも壊すかのように僕を床に叩きつけた。


「俺と勝負しろ。さもないとお前の妹の命は……」


「やっぱりお前は僕の敵だ」


 僕はやつの腹にりを入れた。

 やつは天井まで吹っ飛んだが、笑っていた。


「まったく、これだから脳筋は嫌いなんだよ。で? 何で勝負するんだ?」


「そんなの決まってるだろ? 殺し合いだ」


 はぁ……やっぱり面倒なことになるんだな。

 まあ、なんとなく予想してたけど……。

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