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根拠のない自信

 次はどんなやり方で妹に近づいてくるのだろうか。

 いや、待て。今日、寝込みを襲う可能性もあるな。

 うーん、考えれば考えるほど不安になってくるな。

 雅人まさとは下校中、食事中、入浴中、歩行中、とにかく何かしている時、ずっと例の転校生のことを考えていた。

 ノリと勢いで生きてきたようなやつが実の妹に告白してきたのだ。

 不安になるのは当然だ。彼は彼女の実の兄なのだから。


「お兄ちゃん、今日は一緒に寝ようよ」


「ああ……」


 やつの気配は今のところない。

 童子わらこ(妹)が展開している結界は破られていないから侵入者はいないはず。

 だが、誰かに変身して侵入しているかもしれないな。


「お兄ちゃん。ねえ、聞いてる?」


「ああ……」


 いつ、どのタイミングで現れるか分からない。

 うーむ、せめてやつのプロフィールが分かればいいのだが。


「……私の話を……聞けー!!」


「うわああああああああああああああああああ!!」


 夏樹なつき雅人まさとの実の妹)は彼を自分の黒い長髪で拘束こうそくしたあと、彼を二階の廊下の床に叩きつけた。


「きゅ、急にどうしたんだ? 僕が何かしたか?」


「したというか、してないというか……。とにかく私の話を聞いてよ! じゃないと、お兄ちゃんのこと嫌いになるよ」


 それは勘弁してください。


「ご、ごめんよ、夏樹なつき。今日、お前に告白してきた転校生のことを考えてただけなんだ。だから、許してくれ」


「あー、あのバカのことか。安心して。私、あいつのこと嫌いだから」


 嫌い? 初対面なのに?


「そ、そうなのか?」


「うん。だって、あいつ……根拠のない自信しかないもん」


 うーん、まあ、それはそうなんだが。


「うーん、まあ、そうだな。えっと、その、そろそろ解放してほしいんだけど」


「お兄ちゃんは学校を出てから私の話をちゃんと聞いていませんでした。そんな悪いお兄ちゃんを解放するわけにはいきません。罰として、お兄ちゃんは朝まで私の抱き枕になってもらいます。ちなみにお兄ちゃんに拒否権はありません。さぁ、お兄ちゃん。私と一緒に一夜を過ごそう」


 最後の意味深な発言に意味はないんだよな? な?


「あ、ああ、そうだな。あははははは」


「よおし、じゃあ、さっそく寝よう! すぐ寝よう! ほら、お兄ちゃん行くよ。ほらほら早くー!」


 く、苦しい。ちっ、窒息死するー。

 彼女が彼を拘束したまま自分の部屋まで引きずっていくのを他のみんなは階段近くにある壁のそばで見ていた。

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