やるのです
人造妖怪のふーちゃんとカプセルンの歓迎会はかなり盛り上がった。
しかし、童子(妹)だけはずっと楽しそうではなかった。
「ウジウジ星から来たウジウジ星人がいますね」
「え?」
歓迎会の後片付けを終わらせた童子(姉)は真っ先に童子(妹)の元に向かい、そんなことを言った。
「あなたは私と違って素直ですからね。良くも悪くも」
「う、うん」
童子(姉)は彼女の手を掴むと、浴室まで引っ張った。
「い、痛いよ! お姉ちゃん! 急にどうしたの?」
「いいからとっとと脱ぎなさい! ほら、早く!!」
お、お姉ちゃん……急にどうしちゃったの?
はっ! まさかお姉ちゃんって、実は女の子が好きなの!?
「キャー! 助けてー! お姉ちゃんに犯されるー!」
「あなたは何か勘違いしているようですね。私はあなたが雅人さんと一緒に家に帰ってきてから様子がおかしいということに気づいたのです。あとは分かりますね?」
え、えっと……つまり、どういうこと?
まるで理解していない彼女に童子(姉)は仕方なく説明する。
「まあ、要するに……悩みがあるなら、きちんと相談してほしいということです」
「……お姉ちゃん」
カポーン。
「えへへへ、お姉ちゃーん♡」
「あまりくっつかないでください。気持ち悪いです」
湯船に浸かっている二人は本当の姉妹のようだ。
「それで? いったい何があったのですか?」
「あー、まあ、その……ちょっとやらかしちゃって」
ほう。
「そのちょっとを詳しく教えてください」
「あー、うん、分かった……」
童子(妹)はスーパーでの一件を彼女に全て話した。
「なるほど。つまり、あなたは自分の失敗のせいで雅人さんが傷ついたと思っていて、その罪悪感があなたを苦しめているということですね?」
「う、うん、まあ、そうなる、かな」
やはり、あなたはまだまだ子どもですね。
小さなことでクヨクヨしている。
まあ、私も人のことは言えませんが。
「ふむ。では、こうしましょう」
「どうするの?」
童子(姉)が彼女の耳元で囁く。
それを聞いた童子(妹)は目を見開いた。
「む、無理無理無理無理!! 私、そんなことできないよー!」
「できます。というか、いつものあなたなら喜んで実行していると思いますよ」
そ、それは……。
「と、とにかく! それ以外なら何でもす……あっ」
「ん? 今、何か言いかけましたよね?」
あ、危なかった。今のは本当に危なかった。これからは気をつけよう。
「う、ううん、何でもないよ。あ、あははは」
「そうですか。では、代替案をあなたに伝えます」
な、なあんだ。ちゃんと他の案もあるんだね。
童子(姉)は彼女の耳元で囁く。
「うーん、まあ、それくらいならできそう、かな」
「できそう、ではなく……やるのです。ずっと気まずいままだと気持ち悪いですからね」
ああ、やっぱりお姉ちゃんは私のお姉ちゃんだ。
「うん、そうだね。ありがとう、お姉ちゃん。大好きー!」
「こ、こら! 急に抱きつかないでください!!」
やーだよー。
「えー、いいじゃん。別にー。あれ? なんかお姉ちゃんの胸、成長してない?」
「えっ? 本当ですか? ……って、そんなことあるわけないでしょう! 何年、座敷童子やってると思ってるんですか!!」
二人はしばらくの間、イチャつ……いや、仲良くお風呂で遊んでいた。




