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練習再開!!

 夏樹なつき雅人まさとの実の妹)は人造妖怪のふーちゃんが雅人まさとにお昼のお礼を言えるようになるまで練習すると言い出した。


「あ、あなたの手を借りずとも私はちゃんとご主人様に」


「伝えたいことがあっても声に出さなかったら、それはテレパシーでも使わない限り、一生相手に伝わらないよ。それくらい分かるよね?」


 うっ! こ、このメスが言っていることは正しい。反論できない。


「そ、それができたら苦労しない!」


「だったら練習すればいいんだよ。ほら、私をお兄ちゃんだと思ってやってみようよ。ね?」


 その笑顔の裏に黒くドロドロとしたものがひそんでいるような気がする。

 けど、ずっとご主人様にお礼を言えないのは辛い。


「わ、分かりました。今回はあなたに従います」


「そうそう、最初から素直にそう言えば良かったんだよー。じゃあ、早速始めようか」


 夏樹なつきは咳払いをする。


「ふーちゃん、僕に話があるって言ってたけど、何かな?」


「え? も、もしかしてもう始まってます?」


 夏樹なつきはコクリとうなずく。

 ふーちゃんは頬をペチペチ叩いて気合を入れた。


「え、えーっと、その……話というのはですね、ご、こごごご、ご主人様に……お、おおおお、お昼のお礼を伝えたいというものでして」


「はぁ……あのね、ふーちゃん。お兄ちゃんは面接官じゃないんだよ? そんなに緊張してどうするの?」


「す、すみません。あまりこういうことに慣れていなくて」


 人造妖怪のことはよく分からないけど、私より長生きしてないってことは分かったよ。


「弱音を吐いている暇なんてないよ! ほら、もう一回!!」


「は、はいっ!!」


 それからしばらく経って……。


「よしよし、最初のより遥かに良くなってきたね。じゃあ、次はお兄ちゃんのお面を付けた私に言ってみて」


「そ、そそそそ、そんなことできません! 勘弁してください!!」


 そこまでハードル高いのかな……。


「えーっと、お面の段階でギブアップされたら困るんだけど」


「す、すみません! けど、大好きな人に気持ちを伝えるのは結構難しいんですよ」


「あー、分かる分かる。でも、それはノリと勢いでどうにかなるよ」


 私はあなたのようにはできません。

 私とあなたは違うのです。


「おーい、ちょっとー。なんかこの世の終わりみたいな顔してるよー。ほら、ちゃんと練習しないと日が暮れちゃうよー」


「うう……お、鬼! 悪魔! サディスト!!」


「うーん、私は二口女ふたくちおんなだから、どれにも当てはまらないなー。はい! この話はおしまい! 練習再開!!」


 うえーん! ご主人様ー! たーすーけーてー!!

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