店長さんは猫又
十干たちが雅人の鬼の力を欲しがっている連中の拠点を潰して回っている時、童子(姉)たちは諸悪の根源を潰すために、とある店のまでやってきた。
「ねえねえ、童子ちゃん。ここって、お兄ちゃんのバイト先だよね?」
「はい、そうです。それがどうかしましたか?」
いや、色々と意味が分からないよ。
なんでこんな時にファミレスなんかに来る必要があるの?
「えっと、腹ごしらえでもするのかなーと思って」
「夏樹さん、あなたは自分の兄が勤務している場所を調べたことがありますか?」
うわあ、腹立つー。
ジト目クールロリくせに生意気だなー。
「少しくらいはあるよ。まあまあ繁盛してるよね。ファミレスにしては」
「一応、飲食店ですからね。さて、ここで問題です。この店の店長さんは誰でしょう」
「えっと、たしか猫又が店長さんだったよね?」
そう、この店の店長さんは猫又だ。
猫又。シッポが枝分かれしているため、二本生えているように見える化け猫の一種。
長く生きた猫がそうなると云われている。
人の言葉を話したり、不思議な力を使うことができる。
「はい、そうです。この店の店長さんは猫又です。そしてその猫又はこの町の猫たちの情報網を全て把握しています」
「……え? そうなの? 初耳なんだけど」
猫たちは静かに情報を共有しますからね。
耳を傾けていないと気づけません。
「そうですか。まあ、夏樹さんにはやってもらいたいことがあるので、別に教えなくても良かったのですが……」
「え? そうなの?」
あなたは雅人さん絡みじゃないと、動きませんからね。
まあ、それは私も同じですが。
「はい、そうです。さぁ、さっさと中に入りますよ」
「え? あっ、うん、わ、分かった」
童子(姉)は皆と一緒にファミレスの中へと入っていった。




