集結した
手術室に十干が集結した。
甲。甲さん。頭に甲を被っている。
乙。乙さん。頭に天蓋という笠を被っている。
丙。兵さん。なぜか迷彩服を着ている。
丁。蝶さん。頭のてっぺんにモンシロチョウが止まっている。
戊。防さん。なぜか全身に盾を装備している。
己。紀伊さん。毎日、紀伊山地で修行しているらしい。何の修行をしているのかは不明。
庚。更さん。手が直接植物に触れると急成長してしまうため、いつも手袋をしているらしい。
辛。心さん。心の声が聞こえるらしい。
壬。陣さん。自分が書いた陣の中でなら最強。
癸。君さん。間違っても【黄身】と呼んではいけない。
「えっと、みなさんを呼んだのは乙さんですけど、そうさせるように促したのは僕なんですよ」
「へえ、そうなんだ。それで? 雅人くんは私たちに何をしてほしいの?」
甲さんがリーダーなのかな?
「それはですね……」
「それは私が説明します」
おっ、乙さんが僕の代わりに説明してくれるのか。ありがたいな。
それからしばらく経って……。
「……というわけなんです」
「ふむ。久しぶりに我が兵たちを実践投入できるな」
兵さん、物騒なこと言わないでくださいよ。僕は別にケンカをしたいわけじゃないんですから。
「なんだか面白そうだねー。私、協力するよー」
蝶さんの頭のてっぺんにいるモンシロチョウが羽をパタパタと動かしている。
その蝶はあなたの体の一部なんですか?
「ヤル! ヤル!!」
防さん、やる気満々だな。
「……承知」
紀伊さん、オーラがすごいですね。
「いいねー。あたし、そういうの大好き」
更さん、これは遊びじゃないんですよ?
「……わ、わた、私も……やる」
心さんの顔がよく見えない。
手足さえ拘束されてなければ見れるのになー。
「うちはどっちでもいいよー」
陣さん、それが一番困るんですよ。
「君ちゃんはー、みんながやるならやるよー!」
君さん、あなたもしかしなくてもアイドルに憧れてますよね?
そのフリフリの衣装といいオーラといい、存在自体がアイドルですよ。
「ということは、みなさんの力をお借りしてもいいということですね?」
「そのようです」
乙さんの応答あり。あー、良かったー。これで第一目標はクリアだなー。
というか、十干って本当にみんな女性なんだな。
あと、多分……年齢はみんなバラバラだな。




