表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
316/1941

ふざけないでください

 考えろ。

 僕がなぜここにいるのか。

 全ての発端ほったんが何なのか。

 そして、それをどう対処するのかを。


「……鬼の力なんてものがあるから……いや、違う。鬼姫ききは自分の居場所を守ろうとして暴れた。だから、鬼姫ききのせいじゃない。なら、なんだ? 何がいけないんだ?」


「あなたのその力は貧弱な人の体では制御できないほど大きなものです。しかし、あなたはそれを自分の体の一部として扱うことができています」


 天蓋てんがいというかさかぶった女が僕にそんなことを言った。

 けど、この力がある限り、僕は狙われ続ける。

 そして、それは僕の近くにいる人たちにも……。

 ダメだ! 諦めるな! 逃げちゃダメだ!


「僕は大切な人を守るために、この力を使う。悪事になんて使う気はこれっぽっちもない。それを証明できれば、この問題は解決する」


「では、それをどうやって証明するのですか?」


 証明……。

 信頼なきものに出番なし。

 なら、その信頼をどうやって手に入れる?

 信頼は長い時間をかけて築き上げるものだ。

 じゃあ、どうやってそれを築けばいいんだ?


雅人まさとさん、あなたは一人でなんとかしようとしていませんか?」


「え?」


 一人……。

 そうだ、僕一人でできることなんて限られている。

 僕の力を利用しようとしている連中はわんさかいる。僕の鬼の力が一騎当千なら、向こうは一万の兵を用意すれば勝てる。

 戦力差がありすぎたら戦いにもならない。

 僕一人では……どうにもならない。


「……僕は誰にも迷惑をかけたくない」


「……ふざけないでください」


 彼女は近くにあったメスを手に取ると、僕の首にそれを近づけた。

 手術室にメスがあるのは当然だが、手足をかせで拘束されているものにそれを向けるのはおどし以外の何物でもない。


「人は他人に迷惑をかけずに生きることができません。この世に生きている限り、それは避けようがありません。ですが、あなたは一人で全てを成し遂げようとしています。あなたは自分から不幸になろうとしています。そんなこと、神が許しても私は許しません! もっと他人を頼ってください。あなたがこうして生きていられるのはいったい誰のおかげですか!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ