童子セカンド
童子は駆除屋について知っていることを僕に話してくれた。
コインに表と裏があるように、この世界にも表と裏がある。
妖怪と仲良くしたい人もいれば、仲良くしたくない人もいる。
後者が少しでもいれば、駆除屋のような職業が生まれ、影で静かに抹殺する。
話が終わると、彼女は僕にこう言った。
「雅人の中にある鬼の力はいつ爆発してもおかしくない爆弾だから、あまり無茶はしないでね?」
「そう言われてもな……」
僕はこれからどう生活していけばいいんだろう。
「というかさ……お前はいつになったら元に戻るんだ?」
「元に戻る? 何言ってるの? 私はいつもこんな感じだよ」
そんなはずはない。
童子はいつも大人っぽく振る舞ってて、冷静で毒舌でたまに甘えてくる可愛い女の子のはずだ。
「……嘘をつくな。僕が知ってる童子は一つ一つの動きがきれいで洗練されてる。だが、お前からはそんなものを一切感じない。なあ、お前は本当に童子なのか?」
「……うーん、この娘が自覚してないかもしれないから言うけど、私は座敷童子の童子で間違いないよ。ただ、少し人格というか性格が違うかな。ほら、今朝の私って、精神が幼児だったでしょ? あれは生まれたばかりだったから、あんな風になってたんだよ」
ん? ということは、この童子もどきは今朝生まれたってことか?
「そうなのか。ん? だとしたら、僕がよく知ってる方の童子は今どこにいるんだ?」
「私の中にちゃんといるよ。今は雅人とイチャイチャしてる夢を見てるよ」
イチャイチャって。
「えっと、その童子は……あー、どっちも童子だから呼びにくいな。じゃあ、こうしよう。お前は今から童子セカンドだ」
「セカンドね……。まあ、別にいいけど」
うーん、どうやったらオリジナル童子を連れ戻すことができるのかな……。
「なあ、童子セカンド。オリジナル童子を連れ戻せる方法はないのか?」
「ある、けど……あまりオススメはしないよ」
何? それはいったいどういう意味だ?
「でも、あるにはあるんだろ?」
「まあ、そうだけど……」
何を躊躇っているんだ?
「教えてくれ、その方法とやらを」
「……うーん、まあ、教えるだけならいいかな。ちょっと大声では言えないから耳貸してくれる?」
僕はコクリと頷いて彼女に耳を貸した。
彼女が僕の耳元で発したその方法は僕の心臓が大きく跳ねるほどのものだった。




