トランプ式王様ゲーム
ドーナツはそろそろ終わる。
「会長、大金持ちですね」
「うー! こんなはずじゃなかったのにー!! 悔しいよー!!」
ドーナツというのはトランプのカードをドーナツ型にして交互にカードをめくり、同じマークが出たらそれまでに貯まっていたカードを手札にしなければならないゲームだ。
まあ、要するにドーナツがなくなるまでカードを最後まで持っていたら負けというわけだ。
「というか、どうして雅人くんはそんなに上手なのー?」
「そうですか? 僕はただ、端から順番に引いていっているだけですが」
残りのカードは三枚。
「そっかー。なら、今回は君の勝ちでいいよ。次、行こう! 次!」
「は、はぁ」
切り替えが早いのか、諦めるのが早いのか……。
まあ、とりあえずこれで一勝一敗か。
「会長、次は何をするんですか?」
「うーん、そうだねー。じゃあ、トランプ式王様ゲームをやろう」
は? トランプ式王様ゲーム?
聞いたことない遊びだな。
会長はカードをシャッフルしながら、鼻歌を歌っている。
上機嫌ですね。
「あの、会長。そのトランプ式王様ゲームというのは何なんでしょうか」
「あー、えーっとね、今から箱を用意するからその中にカードを入れて、そこからお互い一枚ずつカードを引くんだよ。で、数字の大きい人の命令通りにするっていうやつだよ」
なるほど。そういうことですか。
というか、それってオリジナルじゃ……うーん、まあ、いいか。
会長、楽しそうだし。
「分かりました。あっ、ちなみに数字が同じ場合はどうするんですか?」
「その時はお互いの言うことを聞けば問題ないでしょ?」
うーん、まあ、そうなりますよね。
「分かりました。それでどうすれば勝敗が決まるんですか?」
「うーんとね、王様の命令に従えなかったら、その時点でその人の負けだよー」
ふむ。これは思ったよりきついな。
「分かりました。では、始めましょうか」
「うん!!」
会長はその辺にあったダンボール箱にカードを入れる。
会長はそれを長机の上に置くと、ニッコリ笑った。
さて、どうしたものかな。




