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トランプ

 生徒会室に逃げ込んだ雅人まさとは生徒会長と話していた。


雅人まさとくん、君はいったい何やらしたんだい?」


「え? いや、知りませんよ。幼馴染と妹が急にケンカを始めて、その場にいるのが嫌になって離脱しようとしたら、こうなりました」


 彼女はミートボールを食べながら、うんうんとうなずいている。

 あの、会長。僕の話、聞いてますか?

 まあ、この人はさとりだから、ちゃんと聞こえてるだろう。

 彼は人影が扉の前に現れるたびに身構えていた。

 その様子を見た生徒会長の『飛美濃ひみの さとり』はクスクス笑った。


「な、何ですか? 思い出し笑いですか?」


「ふふふ、違うよ。君の反応が面白くて、つい笑ってしまったのさ。別に深い意味はないよ」


 別に悪い気はしない。

 けど、なんだろう、この気持ち。

 こう、なんというか……監視というか観察されている動物みたいな感じだ。

 どうやら彼は他人に自分の行動を観察されていることに気づいた瞬間、自分がおかしな行動をしているのではないかと思ってしまったようだ。

 まあ、それはあながち間違っていないのだが。


「そ、そうですか。えっと、午後の授業が始まるまでには自分のクラスに戻ります。だから……」


「ずっとここにいてもらっても構わないよ。ここは私の空間だからね。私たちがここで何をしようと誰にも邪魔されないし、まず気づかれない。どうかな? 少し私と遊んでみないかい?」


 そんな時間は……いや、昼休みはまだ終わらない。

 時がつのを待つのもいいかもしれないが、誰かと遊んでいる方が時の流れは早く感じるかもしれないな。


「いいですよ、何して遊びます?」


「うーん、そうだねー。じゃあ、トランプで遊ぼう」


 トランプか。

 ババ抜きと七並べとドーナツとポーカーしか知らないけど、大丈夫かな?


「分かりました。でも、僕あまりトランプで遊んだことがないので難しいのはできませんよ?」


「安心したまえ、最初はトランプタワーだ。さぁ、こっちに来たまえ」


 なんか今日は機嫌が良さそうだな。

 彼は彼女のそばに歩み寄る。

 彼女はどこからともなくトランプが入ったプラスチック製の箱を出現させ、中身を取り出す。


「では、始めようか」


「はい」


 こうして二人によるトランプタワー作りが始まった。

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