臨死体験
それで? 僕は具体的に何をすればいいんだ?
あんたにできることは……まあ、今のところないわね。
は? いやいや、そんなことないだろ。
うーん、あることにはあるんだけど、今のあんたには無理というか……。
無理かどうかはやってみなくちゃ分からないだろ!
真っ暗な空間で鬼姫と会話する雅人。
少しでも可能性があるなら、それに向かって努力する。
無理なものは無理。
そんな正反対な意見が飛び交っている。
じゃあ、今すぐナイアガラの滝の底に突き落とされてもいいの?
僕の体はお前のおかげで耐久おばけになってるからな、そんなものじゃビビらないぞ。
じゃあ、イモガイの神経毒とかは?
え? あー、毒系はどうなんだろう。お前は平気なのか?
あたしは鬼だから、破魔の力が宿ってなければなんとかなるわ。
そっか。じゃあ、大丈夫だな。
ふーん……じゃあ、マグマ。
お前、なんかさっきから僕のやる気をなくそうとしてないか?
し、してないわよ! 何言ってんの?
怪しいなー。あっ、もしかして、もうすでに僕はお前の力を制御できるのか?
あー、それはないわね。
ないのか。じゃあ、なんでこんな意地悪するんだよ。
そ、それは……あ、あんたがいなくなったら困るやつがいるからよ。特にあんたの妹とか。
え? もしかして心配してるのか?
し、心配なんかしてないわよ。ただ、あの子は割といい子だから悲しませたくないってだけで。
そうか。まあ、そういうことにしといてやるよ。でも、このまま何も収穫がないと不安になるから、せめてその方法だけでも教えてくれよ。
……体験。
え? なんだって?
あんたのメンタルは妹がそばにいるとそこそこだけど、いないと石ころ並みだから臨死体験をする必要があるのよ。
え? 臨死体験? えっと、それは一日に何回くらいすればいいんだ?
そうねー、まあ五秒に一回。で、それを一日一時間くらいすれば、そのうち鍛えられるんじゃない?
……え?




