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無自覚

 ねえ……。

 うるさいな……明日も早いんだよ。寝かせてくれよ。

 それは無理。

 なんでだよ。寝かせてくれよ。

 あっ、そう。ということは、あんたの妹が危険な目にってもいいのね?

 僕はその言葉を聞くと跳ね起きた。

 あれ? ここはどこだ? 真っ暗で何も見えないぞ?

 ここはあたしの部屋よ。

 は? え、えっと、その声はもしかして……鬼姫ききか?

 それ以外に誰がいるのよ。

 ま、まあ、それはいいとして。どうしてこんなところに僕を連れてきたんだ?

 あんたはあたしの力を制御できるようになりたいと思っている。

 え? あー、まあ、そうだな。

 それは天地がひっくり返っても無理だって言われても?

 そ、そこまで不可能に近いのか?

 いや、別にそこまで難しくはないけど。

 そうなのか? じゃあ、頑張る。

 はぁ……あのね、世の中には頑張ってもどうにもならないことがあるのよ?

 例えば?

 え? あー、そうね。例えば、大学の必修単位を落とした時に今年度中にその単位を取得したいとか、再試験やレポート提出でなんとかしてくれませんかーとか言っても結局相手にされずに……っていうやつとかが、そうね。

 お前、大学行ったことあるのか?

 ないわよ。けど、知り合いからそんな話を聞いたことがあったのよ。

 へえー、そうなのかー。でも、まあ、その場合、来年また頑張れば……。

 知り合いの話によると、そいつはその年の冬を越せなかったそうよ。

 え? ちょ、それ、本当にあったのか?

 さぁね。一応、行方不明扱いになってるらしいけど、多分違うわ。じゃなきゃ、別れ際に死刑宣告を言い渡されたような顔なんかしないもの……。まあ、冗談はさておき、本題に入りましょうか。

 いや、なんか今の話を聞いたら、そんな気分じゃなくなったんだけど。

 今のはあくまで例え話よ、例え話。さぁ、本題に入るわよ。

 お、おう。

 まあ、要するにあんたがあたしの力を使うにはあたしより強くならないとダメなのよ。

 それは……まあ、なんとなく分かるけど。

 なんとなくじゃダメよ。自分はこいつより強い。この力は自分のものだっていう自信というか強い思いがないと力に振り回されるのよ。

 そ、そうなのか? 予想はしてたけど、僕ってかなり大きな力を宿してるんだな。

 今頃、気づいたの? 無自覚って怖いわね。

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