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ちょっとタイム

 さてと、寝るか。

 雅人まさとがベッドに入ろうとした時、布団が膨らんでいた。

 どうやら先客がいたようだ。

 これは気づかないフリをして布団をめくるのがいいのかな?

 彼はその場で少し考えたのち。

 何も言わずに布団をめくった。


「あっ、お兄ちゃん。待ちくたびれたよー」


「明日は早起きしないと遅刻するぞ。おとなしく自分の部屋で寝なさい」


 夏樹なつきは彼に背中を向ける。

 どうしてこうなるかなー。

 彼は彼女と背中合わせになるように横になる。


「まあ、いざとなったら僕が起こしてやるよ。だから、今日はもう寝ろ」


「わーい! お兄ちゃん、大好きー!」


 夏樹なつき雅人まさとの背中に抱きつくと、ほおりをする。


「まったく、そんなんじゃ、いつまで経っても兄離れできないぞ?」


「別にいいもーん。お兄ちゃんがいれば、あとはなーんにもいらないから」


 いや、僕一人ではどうにもならないのだが。

 けど、言いたいことは分かる。

 あらゆるものを手に入れたとしても夏樹なつきがいない世界で生きていける自信はない。

 夏樹なつきは僕の体の一部のようなものだからだ。それがないと僕が僕じゃなくなる。

 おそらく僕は夏樹なつきがいなくなった瞬間、暴走してしまう。

 鬼の力に支配されてしまう。

 世界を破壊し尽くした後、何もない世界で泣き続ける。

 そうならないように僕は妹を守る。そのためなら、僕は……。


「お兄ちゃん、こっち向いて」


「え? あー、うん」


 夏樹なつきと目を合わせる。

 何度見ても、僕の妹は可愛い。

 僕の目がカメラになっていたら、妹の一生分の動きを記録できる。

 しかし、僕の目はそこまで高性能ではない。

 だが、それがなんだ。

 思い出という名のファイルに保存すればいいではないか。


「お兄ちゃん、ギュッてして」


「あー、うん」


 一緒にお風呂に入っていた時とは違う。

 シャンプーのいい香りとモンブランのような甘い香りが鼻をくすぐる。

 妹を抱きしめた瞬間、妹に触れている手や腕から妹の体温が伝わってくる。

 な、なんだこれ。なんかこれ以上はいけない気がする。

 ま、まずい。こんな時に抱きしめられたら頭がどうにかなってしまう!


「ごめん、ちょっとタイム」


「タイム? そんなの私は許さないよー」


 夏樹なつきの腕と黒い長髪が彼を抱きしめる。

 男のものとは違うふわふわな髪と柔らかい肌および肉や感触が彼を包み込む。


「え、えっと、もしかして朝までこうしてるつもりか?」


「ピンポーン! さすがだねー、お兄ちゃん。ということで、おやすみー」


 夏樹なつきはそう言うと、スウスウと寝息を立て始めた。

 な、なんでこうなった。

 でも、別に気持ち悪くはないし、むしろ気持ちいいから今日はぐっすり眠れそうだ。

 彼は静かに目を閉じると、彼女をギュッと抱きしめた。

 おやすみ、夏樹なつき。明日から一緒に学校行こうな。

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