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天使がいた

 雅人まさとひたいから羅々(らら)の目玉の一つが入る。

 第三の目がギョルンと出てくるのではないかと彼は何回かひたいさわっていた。


「ねえ、雅人まさと。もしかして『天○飯』とか『三○目がとおる』とか『幽☆○☆白書』の『飛○』を知っててやってるの?」


「いや、別に意識してやってるわけじゃないけど、なんとなく開眼したらいいなーと思って」


 しません。というか、そんな雅人まさと見たくないよ。


「大丈夫。それはよっぽどのことがないと出てこないから」


「よっぽどのこと?」


 それが出てくる時は目が自分を守ろうとする時。

 つまり、雅人まさとが完全に鬼になった時、それは飛び出る。

 彼女はそのことを彼に伝えるべきか迷ったが、今は言う必要がないと思ったため言わなかった。


「うーんとね、熱湯をおでこにかけたり、すごい衝撃がひたいに加わったりすると出てくる……かもね」


「そうなのか? まあ、気をつけるよ」


 カラスたちが夕日に向かって飛んでいく。

 オレンジ色の光が二人を照らし、二つの影法師かげぼうしが道路を黒く染め上げる。


「帰ろっか」


「ああ、そうだな」


 二人はそう言うと、ゆっくりと歩き始めた。


 *


「ただいまー……って、あれ? おーい、誰かいないのかー?」


 雅人まさとを待ち構えていたのは闇だけだった。いつもなら、妹の夏樹なつきや座敷童子の童子わらこ、あと家出中の白猫が出迎えてくれるのだが。


「うーん、くつはちゃんとあるし、邪悪な妖気も感じないから多分、この家の中にいると思うんだが」


 彼は一階の廊下やリビング、キッチンなどを見て回ったが誰もいなかった。


「となると、二階かな?」


 彼が二階に向かい始めると、トタトタという足音が聞こえてきた。

 音は彼の部屋から聞こえてきた。


「かくれんぼでもしてるのかな?」


 彼が自室の前までやってくると、音はピタリと止んだ。


「おーい、誰かいるのかー」


 彼が部屋の扉を開けて部屋の中に入ると、そこには天使がいた。


「あっ、おかえり! お兄ちゃん!!」


「な、なななな、夏樹なつき! お、おおお、お前、その格好はいったい!」


 彼の実の妹である夏樹なつき

 彼女はひきこもりだ。

 あと『二口女ふたくちおんな』だ。

 そんな彼女が着ていたのは……。

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