怪しい気配
座敷童子の童子が屋上にある『逆五芒星』を文字の力で消滅させると校舎に漂っていた怪しい気配は消え失せた。
「これで一件落着ですね」
「いや、あの、僕はお前に霊力をたくさん吸われたせいでまともに動けないんだけど?」
童子は横になっている雅人の元へ歩み寄ると、ゆっくりしゃがんだ。
「すみません。少し吸いすぎました」
「あれは少しじゃないだろ。まあ、目的は達成できたから別にいいけどさ」
生徒会長の『飛美濃 覚』はニコニコ笑いながら彼の元に歩み寄ると、ゆっくりしゃがんだ。
「よく頑張ったねー。お姉さんが頭撫でてあげよっか?」
「いえ、結構です。というか、結局今回の事件の犯人はいったい誰なんですか?」
今回の事件は真相が分からないまま幕を閉じたわけだが、おそらく犯人はこれからも『逆五芒星』を使ってくるだろう。
「さぁ? 誰だろうねー。監視カメラが壊されてなかったら、どうにかなったかもしれないねー」
「今回は範囲が狭かったおかげでなんとかなりましたが、これからはもっと広範囲で今回のような現象が起こる可能性が高いですね」
それは厄介だな……。
犯人は今頃、どこで何をしているんだろうなー。
「はぁ……これから忙しくなりそうだな」
「さて、それはどうでしょうね」
童子が意味深なことを言った。
お前、まさか何か知っているのか?
「ん? それはいったいどういう意味だ?」
「犯人は身近にいる人物かもしれないという意味です。まあ、確実にそうとは言い切れませんが」
はぁ……なんか面倒なことになりそうだな。
そんなことを考えている雅人の頬を二人は人差し指でつついていた。




