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十分弱

 屋上には紫色の光を放っている『逆五芒星』がある。


「こんなものが学校の屋上にあったら縁起が悪いな。さっさと消してしまおう」


雅人まさとさん、それはダメです」


 座敷童子の童子わらこは腕を真横に上げて彼が前に進めないようにした。


「いや、でも……」


「でも……何ですか? 死にたいんですか?」


 彼女は足元にあった小石を拾うと、それを『逆五芒星』めがけて投げた。

 小石がその中に入ると『逆五芒星』がより一層輝いた。

 その直後、小石は跡形もなく消滅してしまった。


「これでも、まだ同じことが言えますか?」


「い、いや、その……ごめんなさい」


 彼が申し訳なさそうにうつむくと彼女は彼のひたいを殴った。


「え?」


「あなたにはみずから危険に飛び込もうとする性質があります。なので、何も考えずに行動するのはやめてください」


 別に何も考えてないわけじゃないんだけどな。


「何ですか? 何か言いたいことがあるのなら、私の目を見て言ってください」


「それは……できない」


 はい?


「なぜですか? 私のこと、嫌いなんですか?」


「いや、別にそういうわけじゃないんだけど」


 その時、生徒会長の『飛美濃ひみの さとり』が童子わらこにこう言った。


「きっと雅人まさとくんは君の目を見たくないんじゃなくて君と目を合わせるのが恥ずかしいんだよ」


「はぁ? 何を今さら……」


 彼女が彼の方を見ると、彼は頬を人差し指でポリポリいていた。


雅人まさとさん」


「な、なんだ?」


 童子わらこはジャンプして彼の襟首をつかんだ。


「今すぐ私の目を見てください。じゃないと、文字の力を使って、あなたを私の奴隷にします」


「そ、そんな脅しは僕には通用しな……」


 彼女の目は本気だった。

 彼は彼女の気迫に負けて、しぶしぶ彼女の目を見た。


「……やっぱ無理!」


「ダメです! ちゃんと私の目を見てください!!」


 えーっと、これはいつまで続くのかな?


「お、お前がさっき堂々と僕の彼女(仮)だって言ったから、こうなってるんだよ! それくらい分かれよ!」


「分かりません! 私はただ事実を述べただけです! 照れる要素はどこにはありません!!」


 まあ、いっか。見てて面白いし。

 二人が落ち着くまで十分弱かかった。

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