やっぱりかー
公園。
「雅人さんは私がいいと言うまで動かないでください。いいですね?」
「嫌だと言ったら?」
身を低くして小声で指令を下す座敷童子の童子はキッとした視線をこちらを向ける。
「冗談だよ。お前に逆らうと、あとが怖いからな」
「そうですか。では、夏樹さん。目玉を木の枝に乗せてください」
夏樹(雅人の実の妹)は雅人の幼馴染である『百々目鬼 羅々』の体の一部である目玉を地面に生えている木から生えている枝の上に乗せると、それを誘拐犯の方に向けた。
「羅々さん、誘拐犯の姿は見えますか?」
「うん、ばっちりだよー。あー、まあ、予想はしてたけど、やっぱりかー」
ん? もしかして、誘拐犯はお前の知人なのか?
「羅々さんはそのまま誘拐犯の監視を続けてください。白猫さん」
「なあに?」
家出中の白猫は僕の頭の上に乗っている。
「普通の猫のフリをしてください。あなたが誘拐犯の足元まで行ったら、私が口笛を吹きます」
「要するに、誘拐犯の意識が私の方にいくようにすればいいんだね?」
察しがいいな。
「はい、その通りです。では、よろしくお願いします」
「はーい」
彼女は僕の頭の上から飛び降りると誘拐犯の足元までトテトテ歩いていった。
「なあ、童子。僕の出番はまだか?」
「まだです」
即答かよ。
なんか除け者にされてるなー、僕。




