公園
風の神様、どこにいるのかなー。
「なあ、童子。今、この町の風の神様はどこにいるんだ?」
「公園にいます」
は?
「雅人さんもよく知っている公園にいます」
「え? それは本当なのか?」
座敷童子の童子はコクリと頷く。
「なんでそんなところにいるんだ? 誘拐犯の心理がこれっぽっちも分からないぞ?」
「雅人さん、あなたの友人に風を操れる妖怪がいますよね?」
そんなやつ、うちのクラスにはいないな。
他のクラスか? もしくは他学年か?
「まあ、それはこれから分かりますよ。彼女の居場所は私が彼女のところに遊びに行った際に私が彼女の体内に入れた髪の毛のおかげでそれが分かります」
「お前、神様になんてことを……」
いや、待てよ。
童子はいつかこんな日が来ることが分かってたんじゃないのか?
「向こうは私のことを親友だと思っています。その証拠に私の体内にも彼女の髪の毛があります」
「なんか指輪みたいだな」
もしくはミサンガ的な何かだな。
「まあ、昔のことは帰ってからゆっくり話しましょう。今は彼女を助け出さなければなりません」
「そうだな。よし、じゃあ、急いで公園まで向かうぞ」
彼がその場から走り出そうとすると、童子は彼の手首を掴んだ。
「闇雲に突撃しないでください。というか、今回は私の指示に従ってください」
「それは別に構わないけど、誘拐犯はそんなに危険なやつなのか?」
彼女は彼の手を握る。
「雅人さん」
「なんだ?」
彼女は彼の顔を見つめる。
「思わず目を背けたくなるような真実を知ってしまっても、彼女を助けることに協力してくれますか?」
「なんだよ、それ。僕はお前が思ってるほど、臆病じゃないぞ。だから、早く助けに行こう」
彼女は「はい……分かりました」と言った。




