誘拐犯は……
竜巻の原因は鎌鼬だったが、彼らは何者かによって強制的に竜巻を生み出すよう促されたようだ。
こういうのは神様の気まぐれかもしれないと思った雅人は童子に風の神と話ができるようにしてほしいと頼んだ。
「ただいま戻りました」
「早いな。まだ十分くらいしか経ってないぞ?」
リビングのソファに座っていた雅人の目の前に突如として現れたのは座敷童子の童子だった。
「あまり家から離れたくないので、なる早で終わらせてきました」
「そうか。それでどうだったんだ?」
彼女は深いため息を吐いた。
「ダメでした」
「え? ダメ? なんでだ?」
彼女は再び深いため息を吐いた。
「不在でした。居留守でも旅行に行っているわけでもなく、昨日の夜遅くから風の神の行方が分からなくなっているそうです」
「風の神ともあろうものが何者かに誘拐されたとかいうオチだけは勘弁してほしいな」
というか、風の神っていったいどんなやつなんだろうな。
やっぱり有名な絵に描かれているようなやつかな?
「残念ながら、その可能性は高いです。この町以外の担当になっている風の神はピンピンしているそうですから」
「ん? ということは、日本各地に発生している竜巻の発生源がこの町のどこかにあるっていうか?」
というか、この町の風の神って、いったいどんなやつなんだ?
「まあ、そうなりますね。ちなみに、この町の風の神はまだ子どもです。ついでに言っておくと、幼女です」
「つまり、誘拐犯はロリコンってことか?」
彼女は首を横に振る。
「誘拐犯の目的は風の神の力を奪って、日本という国を支配することです。その証拠に、例の竜巻は日本各地で発生しています。早く風の神の居場所を突き止めないと大変なことになります」
「なあ、童子。お前、いったいどこまで知ってるんだ? というか、いつから知ってたんだ?」
まさかとは思うが、わざとだったりするのかな?
「今はまだお答えできません。けれど、風の神は私のことを知っています。なので、早く助けてあげたいのです。雅人さん、私に力を貸してください」
「こういう時は僕だけじゃなくて、みなさんの力を貸してください……だろ?」
まったく、素直じゃないな。
「そ、そうでしたね。すみません」
「別にいいよ。よし、じゃあ、さっそく作戦を立てよう。今日中に風の神様を助けて、竜巻を根絶するぞ!」
その場にいる全員が「おー!」というかけ声を上げた。
さて、どうしたものかな。




