みゅー
竜巻のせいで休校になってしまった。
どうすればそれを停止または消滅させることができるのか。
雅人はそれを調べるために座敷童子の童子が持ってきた漬け物石を竜巻に向けて投げることにした。
「せーの、それっ!」
雅人は竜巻に向けて漬け物石を投げた。
それは竜巻の根本に落ちた。
すると、竜巻がウネウネと動き始めた。
「な、なんだ? 怒ったのか?」
「いえ、違います。縄張りに侵入したものを排除したくても生き物ではないため撃退できないのです」
童子はまるで竜巻の正体を知っているかのようにそう言う。
「そうなのか? というか、お前何か知ってるだろ」
「私が知っているのは、これは竜巻ではなく妖怪の縄張りだということだけです。大量発生した理由までは知りません」
ということは、これは自然現象じゃないってことか。
「そうか……。ん? なんか竜巻の勢いが弱まってきたな」
「でしょうね」
竜巻の勢いはだんだん弱まっていった。
完全に竜巻が消滅した時、竜巻の先端に近い部分から何かが落ちてきた。
それは漬け物石めがけて落下した。
うつ伏せで目を回している生き物には見覚えがあった。
「こいつは……イタチか? いや、でも爪が鎌みたいなイタチなんて聞いたことな……あっ! そういうことか!」
「はい、そういうことです。今回の事件の犯人は鎌のような爪を持つイタチ……すなわち、鎌鼬です」
竜巻にしては、あんまり勢いがないなーとは思ってはいたが原因はこいつらだったのか。
なるほどな。よし、とりあえず事情を聞いてみよう。
「おーい、大丈夫かー?」
「……みゅー。や、やっと休憩できるー」
しゃ、しゃべった。
いや、まあ、うちにも人語を話せる白猫がいるから、人語を話せるイタチがいてもおかしくないよな。
「おい、しっかりしろ。いったい何があったんだ?」
「みゅー? あ、あなたはいったい……はっ! お、鬼の気配がする! だ、誰か助けてー! 食べられるー! うっ! ずっと同じ場所で回転してたから気持ち悪い……」
そいつはその場から少し進むと、ぐったりしてしまった。
「うーん、とりあえず、こいつをうちまで連れて帰れろうかな」
「そうですね。あっ、漬け物石は私が持って帰ります」
こうして、二人は鎌鼬を家まで連れて帰ることにしたのである。




