三十個以上
竜巻のせいで休校になった。
雅人はなぜそれが発生したのかを調べに行った。
「これがニュースでやってた竜巻か。というか、道中に三十個以上もあったな。もし、これが建物に入れないようにするためじゃなくて、普通に移動してたら今ごろ大惨事になってたな」
雅人は校門前にある竜巻に向かって、ゆっくり歩き出す。
すると、それは彼を拒むかのように突風を起こした。
「どういう仕組みなのかはまだ分からないけど、生き物が近づくと突風を起こすみたいだな」
ここから竜巻までの距離は十メートルほど。
普通の竜巻なら、こんなに近づけるわけがない。
というか、これは本当に竜巻なのか?
無駄にでかい旋風レベルだと思うのだが。
「まあ、いいや。とりあえず、羅々の目玉を出して……っと」
彼は一歩下がると、ズボンのポケットから目玉を取り出し、それを竜巻の方に向けた。
「お兄ちゃん、聞こえる?」
「ん? 空耳かな? なんか夏樹の声が聞こえたような」
その直後、彼の目の前に赤い折り鶴が現れた。
「これは夏樹の……。ということは、さっきのは空耳じゃなかったんだな」
「そうだよ。というか、誰かさんが家に携帯電話を置いていったから、こうなったんだよ?」
夏樹(雅人の実の妹)は少し怒っている。
「ごめんよ。けど、早く原因を突き止めないと明日も休校になる可能性があるから……」
「別にいいよ、気にしてないから。それより、竜巻の方はどんな感じなの?」
どんな感じと言われてもな……。
「近づかなければ、そよ風。近づいたら台風って感じだな」
「そっかー」
さて、どうやってこいつの正体を暴いてやろうかな。




