ドライアイ
竜巻で休校になった。
今まで幼馴染にずっと監視されていた。
けれど、雅人はそれを知ってなお、彼女との関係を断ち切るつもりはない。
「えっと、ごちそうさま。おいしかったよ」
「それは良かった。あっ、そうだ。なあ、お前なら竜巻の発生源を特定できるんじゃないのか?」
今まで僕のことをずっと見ていたお前の目の力なら可能なはずだ。
「え? あー、まあ、できなくはないけど……」
「けど、なんだ?」
あんまりやりたくないんだよねー。
「自分で目を飛ばすこともできるんだけど、それだと目が乾燥しちゃうんだよ。だから、できれば雅人に現地まで行ってきてほしいなー……なんて」
「なるほど。つまり、お前の目がドライアイにならないように僕がお前の目玉を現地まで運べばいいんだな?」
少しめんどうだが、竜巻のせいで残りの高校生活が寂しいものになるのは避けたいからな。
今回は何も言わないでおこう。
「うん、まあ、そういうことだね。雅人、手出して」
「おう」
彼の幼馴染である『百々目鬼 羅々』は自分の右腕にある目玉のうち、一つを彼に手渡した。
「一つでいいのか? 距離感分かるのか?」
「大丈夫、大丈夫。視覚情報を分裂させるから」
え? ちょ、ちょっと待て。
それって、すごくないか?
「な、なあ、お前の視力っていくつだ?」
「え? そんなの分かんないよ。やろうと思えば、どこまでだって見えるんだから」
そ、そうか。
こいつがいれば監視カメラとか顕微鏡がいらなくなるな。
「そうか……。じゃあ、いってくる」
「うん、気をつけてね」




