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適温

 竜巻で休校に……。


羅々(らら)。この件は誰にも言わないから、うっかり誰かに話すなよ?」


「分かった。じゃあ、そろそろ、それ返してもらっていいかな?」


 彼女は自分の体の一部である目玉に目をやった。


「分かった」


 雅人まさとが目玉を彼女に返すと、それは彼女の左腕に移動した。

 その後、それは左腕に吸い込まれた。


「ありがとう。えっと、じゃあ、私はこれで……」


「待てよ。せっかく来たんだから、お茶くらい飲んでいけよ」


 え?


「そ、そんなことしなくていいよー。私の用はもう済んだんだからー」


「いいから、いいから。夏樹なつき。少しの間、白猫こいつのこと頼んでもいいか?」


「え? あー、うん、分かった」


 彼は自分の頭の上に乗っていた家出中の白猫を妹に渡すと、台所に向かった。

 数十分後。


「できたぞー」


「あー、うん、じゃあ、その……い、いただきます」


 うむ。


「て、適温だね」


「当たり前だ。じゃないと、お客さんに失礼だろう?」


 お、お客さんって。


「私、雅人まさとが考えてるようないい子じゃないよ?」


「ああ」


 知ってるよ。


「これからもずっと見ちゃうよ?」


「ああ」


 だろうな。


「それでも……私のこと、まだ幼馴染として……友人として扱ってくれるの?」


「まあ、そうなるな」


 雅人まさと……。


「というわけで、これからもよろしくな」


「え? あ、あー、うん」


 二人は握手をした。

 片方は強く。

 もう片方は弱々しく。

 その様子を見ていた夏樹なつきからは怒りの感情など微塵も感じられなかった。

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