毎日……か
昼休み。
「ごちそうさまでした!」
「ごちそうさま。よし、じゃあ、とっとと自分の席に」
雅人が最後まで言い終わる前に羅々は彼に顔を近づけてニッコリ笑った。
「やだ」
「いや、もう用は済んだだろ? 早く自分の席に戻れよ」
彼女は彼から少し離れる。
「まだ昼休み終わってないから、やだー」
「昼休みが終わるまで僕をからかうつもりか?」
彼女はキョトンとする。
「うん、そうだよ」
「お前な……」
ごめんね。
でも、こうして雅人と話せる時間は無限じゃないんだよ。
それに今日の雅人はなんか変。
「雅人は友達少ないんだから、こうして私と話してないとつまらないでしょ?」
「つまらなくはないよ。それに僕だって一人でいたい時があるんだよ」
それって、どんな時?
「例えば?」
「え? あー、そうだな。今日の晩ごはん、何にしようかなーとか」
「なあんだ、家事のことかー。もっと思春期の男子っぽいことかと思ったよー」
なんだよ、それ。
「常にそういうことを考えているやつなんていないだろ」
「え? そうなの?」
なんだ? お前は、男子はみんな常にエッチなことを考えていると思ってるのか?
「そうだよ。じゃないと、今頃……」
「今頃……何?」
言いたくない。
「なんでもない。忘れてくれ」
「えー、何でー? 教えてよー。ねえ、雅人ー」
あー、しつこいなー。
「だから、なんでもないって言っただろ? あんまりしつこいと怒るぞ?」
「えー、そんなことで怒るのー? というか、本気で怒ったことあるのー?」
僕が本気で怒ったら、学校が消滅するだろ。
「ない。というか、怒っちゃいけないんだよ、僕は」
「それって、怒りの感情がトリガーになって鬼の力が暴走するかもしれないから、だよね?」
ああ、その通りだ。
「まあな」
「でも、だからって嬉しい時とか楽しいことがあった時とかに笑っちゃいけないってことにはならないよね?」
え? あー、まあ、そうだな。
「そう、だな。これからはちゃんと笑えるようにならないとな」
「そうそう。私みたいに笑ってれば毎日楽しいよー」
毎日……か。
そうだな。こんな日々がずっと続くといいな。