エターナルエンドロール使い
最近、幸せな人の視界に終わらないエンドロールを流し、その人を不快にさせる『エターナルエンドロール使い』が出るらしい。
「地味な能力だがそこそこ使える能力だな、これは」
「君は今、幸せか?」
「ああ、幸せだ。他人の不幸はいつ見ても心地いい」
「じゃあ、僕も君に同じことをしていいよね?」
「同じことだと?」
「ああ、そうだ。君の視界に終わらないエンドロールを流して困っている君の姿を見ながらスキップする。それが君の日常……だろ?」
「これは俺だけに与えられた特別な力だ! 誰にもマネできない!!」
「じゃあ、試してみるか?」
「偽物に負ける俺ではない! くらえ! エターナル」
「『エターナルエンドロール』」
「うわあああああ! くそ! なぜだ! なぜお前は俺と同じ力を持っているんだ!!」
「僕は君の力をコピーしただけだよ。さぁ、どうする? みんなを元に戻すか? それとも一生そのままがいいか?」
「も、戻す! 戻すからこれをなんとかしてくれー!」
「その前にみんなを元に戻してくれないかな?」
「わ、分かった! 能力解除!!」
よし、被害者たちの不幸メーターが下がり始めた。どうやら能力を解除してくれたみたいだ。
「よし、じゃあ、僕も能力を解除しよう。能力解除」
「ふぅ……やっと解放された」
「君の力は使い方次第で人の役に立つ。まあ、いきなりそんなこと言われても困るだろうから、まずはこの人がいる家に行くといいよ」
「なんだ? このおっさん。目が死んでるぞ」
「この人は常に視界に文字がないと頭が変になるんだよ」
「だからこんな顔してるのか。よし、俺の能力でこいつを救ってやろう」
「その調子だ。もう今回みたいなことするなよ」
「おう、分かった! じゃあ、またな!」
「ああ、また」
「……お義兄ちゃん、終わった? 早く帰ろう」
「そうだな、そうしよう」
僕たちは広場にいるハトたちが飛び立ってからその場を後にした。




