表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1924/1935

体から小人が生える パワフルちゃん登場

 休日の昼過ぎ。僕は実家の前を行ったり来たりしているやつれた男性に声をかけた。


「この家に何かよくないものでもいるんですか?」


「いえ、私は相談をしに来たんです」


「相談?」


「はい」


「妖怪絡みですか?」


「まあ、そんな感じです」


「そうですか。じゃあ、とりあえず中で話しましょうか」


「は、はい」


「……すごく広い家ですね。天井が見えない」


「いろんながいますからね。うちに住んでる座敷童子がちょくちょく住みやすくしてくれるんですよ」


「そうなんですかー。あっ、申し遅れました。私はこういうものです」


 おっ、名刺交換か。名刺には『時間管理局新人局員』と『常盤ときわ 金也かねなり』という名前、それと彼の連絡先が書かれている。


「これはご丁寧に。あっ、僕は星の王をやっている『山本やまもと 雅人まさと』です」


「存じております」


「そうでしたか。あっ、何か飲みます?」


「いえ、結構です」


「そうですか。じゃあ、本題に入りましょうか」


「はい」


 彼の悩みはたまに体から小人が生えるというものだった。


「最近、ケガしたりしませんでしたか?」


「いえ」


「小人は今どこにいますか?」


「うちにいます。家事を手伝ってくれるのはありがたいのですが数が多いので困っています」


「そうですか。最近、神社に行きましたか?」


「いえ。あっ、そういえば最近、流星群を観に行きました」


「ほう。それでそれで」


「あの時、私はうちに子どもがたくさんいたら楽しいだろうなーと心の中でつぶやきました」


「それですね」


「え?」


「流星群自体に願いを叶える力がなくても人の願いというのは何かに届きます。その何かがあなたの望みを叶えてくれたんだと思います」


「そうなんですか?」


「一応、その何かが何なのか調べられますけど、どうします?」


「いえ、結構です。種なしの私の願いを叶えてくれたんですからそれはきっと悪いものではありません」


「そうですか。じゃあ、座敷童子を一人派遣しますね」


「それはとてもありがたいのですが、そんなことできるんですか?」


「できますよ。なあ? 童子わらこ


「はい、可能です」


「うわっ! なんか出てきた!!」


「彼女はうちが雇っている座敷童子ざしきわらしです」


「はじめまして。『座敷ざしき 童子わらこ』です。あなたの家に永住してくれそうな座敷童子が三人ほどいるのですがどのにしますか?」


「な、なんかお見合いみたいですね」


「お見合いです。あなたが死ぬまであなたの家にいますから」


「は、はぁ……。じゃあ、こので」


「そのは少しメンヘラです」


「え? じゃあ、このは?」


「そのは少しヤンデレです」


「じゃ、じゃあ、このは?」


「そのは自他共に認める怪力です」


「じゃあ、このにします」


「そのは力の制御が下手なのでよく家を壊します。それでも構いませんか?」


「小人たちが直してくれるので大丈夫です」


「そうですか。では、この書類にサインしてください」


「はい」


「これで契約成立です。パワフル、自己紹介しなさい」


「はいー! あ、あの! はじめまして。『座敷ざしき 童超怪力ぱわふる』です! え、えっと、その、どうか末永くよろしくお願いします!!」


「こちらこそよろしくお願いします。あー、私は『常盤ときわ 金也かねなり』です」


「か、変わった名前ですね」


「よく言われます」


「わ、私もです!」


「でしょうね」


「お似合いだなー」


「私もそう思います」


「そ、そうですかー?」


「はい、とっても」


「私もそう思います」


「じゃ、じゃあ、私たちはこれで失礼します。星の王様、今日は本当にありがとうございました」


「どういたしまして。何かあったらすぐ連絡してください」


「分かりました。では、失礼します」


「し、失礼します!!」


「……メンヘラとヤンデレは今回もダメだったか」


「ええ」


「もう二人セットでいいんじゃないか? 双子なんだから」


「そうします」


「一応、何人か候補いるんだろ?」


「ええ、まあ」


「全員やばいのか?」


「はい」


「うーん……地球以外はどうだ?」


「え?」


「宇宙は広い。きっと二人を受け入れてくれるやつがいるさ」


「だといいのですが……」


「あっ、分身星人なんかどうだ?」


「考えておきます」


「ああ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ