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ちょろイン製造機とちょろメン製造機

 ブレイン(発明の専門家)は自分の部屋で何か作っている。


「ブレイン、何作ってるんだ?」


「『ちょろイン製造機』だよー」


「それ、誰が得をするんだ?」


「うーん、遊びたい人とか三次元の人と付き合うのがあんまり得意じゃない人とかかなー?」


「そうか……。ん? こっちのはなんだ?」


「それは『ちょろメン製造機』だよー」


「そうか。こっちはもうできてるのか?」


「うん」


「ちょろインの方はもう少しかかりそうか?」


「ううん、もうすぐ終わるよー。えーっと、あとは好感度メーターを少し弄って……よし! できた!!」


「おー、できたか。なあ、試しに一人作ってもいいか?」


「いいよー」


「ありがとう。へえ、人間以外の種族も作れるんだな」


「まあねー」


「うーんと、髪の色は黒で髪は長め。体型は小柄で胸は控えめ。瞳の色は黒で童顔。性格はおとなしく無口……うーん、ほぼ夏樹なつきになっちゃったな」


「まあ、そうなるよねー。あっ、決定ボタン押したら一分くらいで完成するよ」


「そうか。カップ式自動販売機みたいな感じなんだな」


「うん、そうだよー」


「ちょろインかんせーい!!」


 その音声が流れた後、例の機械の扉が自動で開く。


「おっ、できたか。どれどれ」


 夏樹なつき(僕たちの妹)っぽい見た目をしている幼女はゆっくり目を開ける。彼女は無言で前進し僕に抱きついた。


「好き♡」


「おい、ブレイン。僕はまだこのに何もしてないのに好きって言われたぞ」


「『ちょろイン製造機』だからねー」


「『ヒロイン製造機』はないのか?」


「あるけど、そっちはちゃんと好感度を調整しないと刺されるよ」


「なんでそんなもの作ったんだ?」


「好きな人になら刺されてもいいっていう人のために作ったんだよ」


「そうか。でも、それが常設だと難易度高いからいつでもその機能をオンオフできるようにしておけ」


「はーい」


「『ヒーロー製造機』もだぞ」


「はーい」


「好き♡」


「ブレイン、その前にこの娘をどうにかしてくれ」


「『ちょろイン製造機』にあるデリートボタンを押せば消えるよー」


「そうか。じゃあ、押すか」


「やめて……お願い……」


「いや、お前はデータの塊だから同じ設定で生み出せばまた会えるぞ」


「イヤ……イヤ……!」


「困ったなー。おい、ブレイン。なんとかしてくれ」


「おかしいなー。こんな機能搭載した覚えないんだけど」


「どういうことだ?」


「あのね、この機械から出てくるのは人間のふりをしてるだけのプログラムなんだよ。でも、その娘はなぜか感情を持ってる」


「ということは……」


「その娘はお兄ちゃんのことを本気で好きだと思ってるんだよ」


「な、なんだってー!?」


「へえ、そうなんだ」


「げっ!? 夏樹なつき!!」


「ねえ、私のそっくりちゃん。この人のこと好き?」


「好き♡」


「そう。じゃあ、私のこと好き?」


「嫌い!」


「そう。じゃあ、私と勝負しましょう。あなたが私に勝てたら私はこの家から出ていくわ」


「分かった」


夏樹なつき、いいのか?」


「大丈夫。指相撲だから」


「そうか」


「どうしたの? 私の手を握らないと指相撲できないわよ?」


「その手はトラップ」


「正解。私に触れると無効化が発動してあなたは消える。つまり、あなたは戦う前から負けていたのよ」


「ず、ズルい!」


「ズルい? あのね、見た目だけ私と同じじゃダメなの。それ以外も私と同じかそれ以上じゃないと私には勝てないのよ。分かる?」


「理解した」


「そう。で? これからどうするの?」


「とりあえず本をたくさん読む」


「そう。じゃあ、これから頑張ってね、そっくりちゃん」


 そっくりちゃんは夏樹なつきにあっかんべーをすると図書館に向かった。


「いでよ、僕の分身」


「どうした? オリジナル」


「そっくりちゃんの護衛を頼みたいんだが」


「分かった。いってくる」


「ああ、気をつけてな」


「おう」


「ふぅ……まあ、こんなものかな」


「ねえ、ブレイン」


「なあに?」


「『ちょろメン製造機』でお義兄にいちゃんのそっくりさん作れる?」


「作れるよー」


「そう。まあ、作らないけどね」


「えー、なんでー?」


「だって、本物が一番魅力的なんだもん」


「はいはい」

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