イリュージョンベルト?
勧善懲悪くんの件はなんとかなった。幼馴染が別の星にも彼らを売ろうとしていることは知っているが今のところ事件が起こる気配はないため放置している。
「イリュージョンベルト?」
「うん!」
どうやらブレインが手に持っている変なベルトがそうらしい。
「あー、えーっと、それはいつ、誰が使うんだ?」
「今、お兄ちゃんが使うんだよ。ほら、早く腰に着けて」
「お、おう」
なんか特撮のヒーローが着けてそうなベルトだな。
「これって体の一部になるやつか?」
「ううん」
「じゃあ、誰でも使えるやつか?」
「ううん」
「じゃあ、最初の装着者しか使えないやつか?」
「そうだよー」
「そうか……。えーっと、何かベルトにセットするのか?」
「一応セットできるけど、何もなくてもいいよー」
「そうか……。暴走したり副作用があったりするか?」
「今のところないよー」
「そうか……。じゃあ、そろそろ操作方法を教えてくれ」
「いいよー。まず白くてまるいボタンを一回押します」
「お、おう」
「イリュージョンターイム!!」
「なんか音が鳴ったぞ」
「それは別に気にしなくていいよ。次に指を鳴らします」
「おう」
「キーワードプリーズ! キーワードプリーズ!」
「キーワードか……なんて言えばいいんだ?」
「今回はビギナーフォームになるから『纏身』って言えばいいよ」
「そうか……じゃあ『纏身』」
「ラジャー! 森羅万象! 変幻自在! 万世不滅!」
この世の全てが僕の全身を包み込み、僕の体のサイズに合わせて形を変えていく……最後に不滅のおまじないをかければできあがり。
「おー、なんか着ぐるみになったぞ」
「着ぐるみかー。ウェットスーツを参考にしたんだけどなー」
「そうなのか。でも、これ結構いいぞ。着てる感じが全然しない」
「そっかー。よかったー。じゃあ、耐久テストしよっかー」
「今からやるのか?」
「うん!」
「そうか。でも、今日はこのあと用があるから手短にな」
「はーい」




