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勧善懲悪くん、消防機関にも配備される

 今日から消防機関にも配備される『勧善懲悪くん』。ロボットに人命救助や消火活動ができるのかなー?


「みなさん、おはようございます。今日からこの消防署に配備された『勧善懲悪くん』です。よろしくお願いします」


『よろしくー』


 消防署には人間の他に河童、鬼、天狗、雪女、火取り魔、火消し婆、あぶら赤子あかご、えんらえんらなどがいる。


「最近、放火が多いようなのでみなさん気をつけてください」


『はーい』


 *


「今日もやるかー」


 男はズボンのポケットから草履を出すとそれを手で三回叩いた。するとどこからか火の玉が飛んできた。


「待て待てー!」


 男が火の玉を追いかけるとそれは近くの家の中に入っていった。火の玉の火の粉がテーブルの上に置いてあった新聞紙に落ちると徐々に火が大きくなっていった。


「へっへっへ、いい眺めだ。家なんか建てるからこうなるんだ」


 男はそう言うとその場からいなくなった。


「河童隊! 放水開始! 消防車が来るまでの間、火がこれ以上大きくならないようにしてください!!」


『了解!!』


「鬼部隊は家が崩れないよう自慢の怪力で壁や天井を支えてください!」


『おうよ!』


「火取り魔、火消し婆は火をできるだけ小さくしてください!」


『りょうかい』


「えんらえんらは煙を操って家の中にいる人たちが煙を吸わないようにしてください!!」


「分かったー」


「雪女は火を凍らせながら家の中を見て回ってください!」


「はいよー」


「油赤子は家の中に入って火災の原因が何なのか突き止めてください!」


「おう!」


「天狗部隊はボクと人間たちに風をまとわせてください! そうすればボクたちが火や煙の脅威に晒されることはありません!」


『了解した!!』


「では、これより突入します! 突入!!」


『了解!!』


 勧善懲悪くんは到着した消防車に乗っている人間に消火栓がある場所を伝えつつ人命救助と消火活動を成し遂げた。助けた人たちは救急車で病院まで運ばれた。体に異常がないか検査するためだ。


「消火完了! 瓦礫の撤去はボクと鬼たちで行います! 残りの者は速やかに消防署に帰投してください!」


『了解!!』


「油赤子、今回の火災の原因が何なのか分かりましたか?」


「原因は『けち火』の火の粉だ」


「そうですか、ありがとうございます。あー、それとこれは人命救助の際集めた油です。あなたはこれを飲んでから帰投してください」


「おうよ」


「もしもし、こちら消防署所属の勧善懲悪くんです。ほう、あなたは執事としてお嬢様に雇われている勧善懲悪くんなんですね。え? 用件を早く言え? 分かりました。お嬢様に調べてほしいことがあるので彼女が起きたら調べるよう伝えてください。はい、では、失礼します」


 放火魔は火事発生から二十四時間以内に勧善懲悪くんによって逮捕された。百々目鬼(とどめき)財閥の神童『羅々(らら)』が起床後すぐに世界の至る所にある『目』に保存されている映像をかき集めてくれたからである。


「頑張ってるなー、勧善懲悪くん。次は〇〇かなー」

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