勧善懲悪くん
高性能AIを搭載したロボ『勧善懲悪くん』が今日から全国の警察署に配備される。
「そこの人、今信号無視しましたね」
「は? 車来てないんだからいいだろ。それにもし車に轢かれても俺はお金をもらいながら病院でのんびりできる。まさに不幸中の幸いだろ?」
「あなたは信号がある横断歩道で信号無視をしました。これは道路交通法違反です。さぁ、今すぐ罰金を払ってください」
「はぁ? そんなもん払うわけねえだろ! とっとと失せろ! ポンコツ!!」
「ありがとうございます。今、あなたがボクを殴ってくれたのであなたを公務執行妨害の罪で逮捕できます。ということであなたを署まで連行します」
「ふ、ふざけるな! 俺はこれから用があるんだよ!」
「あっ、逃げた。捕獲ネット発射」
「うわっ! な、なんだ! これ! 重くて動けねえ!」
「罪が重ければ重いほど、それは重くなります。では、署まで連行します」
「や、やめろー! 俺が何したって言うんだよー!」
勧善懲悪くんは百々目鬼財閥が開発したロボットで一機作るのに百兆円必要だが僕が『増殖』の文字を使ってそれを増やしているため開発費が増えることはない。
「いやあ、雅人のおかげでこの国の治安はすごく良くなってるよー、ありがとねー」
「どういたしまして」
「お義兄ちゃん、早く帰ろう。私、おなか空いちゃった」
「そうだな、そうしよう。羅々、何かあれば連絡してくれ」
「はーい!」




