ヨットの野望は潰えた
僕と似たような立場にあるヨットは猛者サウルスを使って僕を消そうとしていた。まあ、僕という存在が邪魔で仕方ない連中はそのへんにゴロゴロいるから今更驚かない。
「お義兄ちゃん、デートしよう」
「夏樹、今日は月曜日だぞ」
「知ってるよ。でも、放課後ならいいでしょ?」
「うーん、まあ、そうだな」
「やったー! じゃあ、放課後になったらお義兄ちゃんの教室に行くね!」
「うん、分かった」
放課後、僕たちは学校から出られなくなった。外によくないものがいるからだ。
「悪霊が特定の場所にこんなに集まるのはおかしいな。何かに吸い寄せられてるのかな?」
「ねえ、お義兄ちゃん。なんか誰か泣いてるよ」
「泣き声は女子トイレから聞こえるな。行ってみよう」
「うん」
「夏樹、多分個室に誰かいると思うからとりあえず廊下まで連れてきてくれ」
「分かった。ねえ、誰かいるー?」
「ご、ごめんなさい。今朝からおなかが痛くてここから出られないの」
「そっか。じゃあ、少し楽になったら出てきて」
「は、はい」
数分後、明らかに他人の不幸を食べすぎて体を壊している女の子が個室から出てきた。
「えっと、とりあえず廊下まで来て。私のお義兄ちゃんがなんとかしてくれるから」
「は、はい」
きれいな黒髪……手入れ大変そう……。




