星の王とのリベンジマッチ
猛者サウルスは今現在の星の王の幻影百万体を倒した後、オリジナルの星の王の元へ向かった。
「久しぶりだな、星の王」
「そうだね」
「この荒野はお前が用意したのか?」
「まあね」
「そうか。では、ここでは何をしても構わないのだな?」
「周囲に人はいないけど、この星を壊すのだけはやめてほしいな。面倒だから」
「そうか。では、そろそろお前を倒すとしよう」
「倒せるといいね」
我は頂点捕食者だ。それなのにこいつは我を見てすらいない。
「我は! お前と出会った時から! そのすまし顔が! 気に食わん!!」
「そうか。でも、さっきからお前の攻撃は全部空振りだぞ?」
「黙れ! フリーズバレット!!」
ディガンマンの力か……。
「捕獲結界」
結界の中は凍ってしまったがこれでその弾が僕に当たることはない。
「変化! 荒野を海に!!」
ヘータヌキの力か……。
「我の幻たちよ! やつを囲め!!」
シンジュサンの力か……。
「改良奥義! 烙印砲!!」
アメリカンショートヘアの力か……。
「反射結界」
さぁ、どう躱す?
「バカめ! 海の中では我が有利だ! 快泳!!」
スティグマンタの力を上乗せしてるな……。
「封印解除! 無限の食欲!!」
サンピラルクーの力か……。
「無限の食欲か……。じゃあ、これ食べてみてよ。ライオンゴロシ」
「そ、それは!! くっ! 仕方ない、この力は封印する」
「あれ? 食べないの? 夏樹ならバリバリ食べるんだけどなー」
「う、うるさい! パワー全開! 全力突撃!!」
コッパンダの力か……。脳のリミッター外せるけど体に相当負担かかるんだよな。
「我の全力! 受け止めてみろー!!」
「うーん、受け止める必要はないかな」
「な、なんだとー!」
「結界拳……一発逆転特大ロケット」
「な、なんだ! これは!!」
星の王の巨大な拳が我の全力を容易くぶち抜く。
「ま、まだだー!!」
我はヨットから借りた力を使って一時的に星の王と同等の立場になった。
「ふっふっふ……これで我とお前の実力は同じになったぞ」
「はぁ……」
「な、なんだ? 今のため息は」
「猛者サウルス……君はたしかに強くなったよ。けど、正直あの日の君の方が生き生きしてたよ」
「な、なんだと? では、今の我は」
「死んでるよ、ほとんど死んでる。何が君を変えたんだろう。やっぱりヨットかな?」
「あ、あいつは我によくしてくれたぞ? 我の今後の方針やお前の幻影との模擬戦、そしてこの力もあいつのおかげだ」
「くだらない」
「ん? お前今なんと言った?」
「くだらないと言ったんだ。あの日の君はそんなこと気にせず全力で前進していた。それなのに今の君は牙を抜かれた獣のようだ」
「わ、我の牙はちゃんと生え揃っているぞ?」
「それは知ってる。僕が君に伝えたいのは今の君からはあの日あったはずの闘争心とか存在感とか野心とか圧倒的な威圧感とかが一切感じられないってことだ」
「なるほど、理解した」
「本当か?」
「ああ」
「じゃあ、今すべきことが何か分かるか?」
「突然変異体の力を使わず、この身が滅びるまで今の我の全力をお前が倒れるまでお前にぶつける!!」
「そうだ! それでいいんだ! さぁ、来い! 猛者サウルス!! 強くなった君の力を見せてくれ!!」
「うむ!! 我道快進撃!!」
そうだ、それでいい。
「結界拳……有鱗完勝極大打撃!!」
両者の技がぶつかった余波で地球上の全生命体の細胞が活性化した。
「星の王、お前の負けだ!」
「いや、僕の……勝ちだ!!」
「うむ、そのようだ……強いな、お前は……」
やつはそう言うと意識を失った。
「お前もな」
手は痺れていないが結界拳に使った結界に少しだけ亀裂が入っている。
「僕もまだまだだな」
僕は猛者サウルスが目を覚ますまでその場で休むことにした。僕はその時、やつのせいで負傷または死亡してしまったものたちを『えいっ』の一言で復活させた。




